忍者ブログ

闇と鎖と一つの焔

NEW ENTRY

(05/12)
(11/19)
(11/13)

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 11/18/19:13

31th day(Part.1)

水源の森を歩く
この先に水の宝玉の守護者が待つという・・・

黒い太陽の魔法陣を抜けてやってきたこの地。
水の宝玉戦は今の俺たちにとってはそれほど厳しい戦いにはなりそうにないと聞いている。
いやむしろ楽勝なんじゃないかという話だ。

だが、この島では最近多くの変動が起こっているらしい。
何が起こるかわからない以上油断は禁物だ。

俺がそう思っていたら、華煉から提案された。

「マナ、模擬戦やらない?」

聞けば俺が明日対峙する相手を幻で作り出してくれるらしい。

「そんな器用なことが出来るのか?相手は水の技を使うんだぞ?」
「あら、そうでもないわよ。なぜかわからないけど、彼女達火炎系の技も使うの。」

その噂は耳にしたことがあった。
水の宝玉の守護者は水の技に長けているが、それだけではなく火の技も使うと。

「マナの場合ヒートウェーブ使うまでアリッサを生かしておいて、メグリアの能力を温存させてウォーターフォールとレンドを封じる方がいいかもね。うまくやれば技を封じられるかも。つまり・・・」

そういうと紅瑪瑙石の指輪を指さした。

「相手の気を削ぎ落とすその剣とソウルシェイブの技使わない方がいいかも。もちろんトーキチローとベアがどういう作戦を使ってくるかにもよるけど。」

ふん・・・なるほど・・・だが、そんなにうまく行くかどうかはわからんな。

「だから、模擬戦やりましょって。」

華煉はにっこり笑ってみせた。
こいつ・・・きっと何か隠している。

「その前に練習試合があるから、それからだな。」
「なんだったらそれも模擬戦やりましょうか?」
「・・・・・・・・・華煉、なんか隠しているだろう?」
「やだなぁ、何を言い始めるのかとおもったら。何もないわよ。ただね。」
「ただ?」
「たまたま相手が全員若い女性だから幻影を作りやすいだけよ。」

火霊には性はないときいている。
一度華煉は俺の目の前で男と女の両方の姿をとって、どちらがいいか俺に選ばせた。
が・・・・あの男はちょっとあんまりだ。
よりにもよって俺の父親にそっくりの姿を取りやがった。
俺がそれで男を選ぶ気になるわけがない。
あとで聞いたら、確かに性はないが姿を変えるように見せている以上、とりやすい姿も当然あるらしく、華煉の場合、外見で今の俺より少し若いぐらいの女性の姿が一番取りやすいらしい。
だから・・・・わざわざ俺の父親の姿を選んで、俺が男性を忌避するようにしむけたらしい。
それなら選ばせるのではなくて最初から女性にしておけばいいのに、儀礼上どうしてもそうしないといけないらしい。
よくわからない話だ。

そうやって考えて見ると、次回の練習試合の対戦相手、水の宝玉の守護者。
どちらも華煉が姿を取りやすい容姿をしている。

「ふん・・・・まぁいいだろう。そういうことにしておいてやるよ。」
「なぁに。マナってばかわいげがな~い。」

華煉は楽しそうに笑っている。
だから・・・・いいか。何を考えているのかわからないが、のせられてやるよ。

前回の遺跡走破の間・・・始まりの右足から黒い太陽までほとんど笑うことがなかった。
ずっと何かを考え込んで。

「なぁ、華煉。何かいいことでもあったのか?」
「え?うん、そうね。ちょっといいことがあったかな。」

ならいいか。

「じゃあ、お手合わせ願おうか。」
「ふふ。久々に実力見てあげる。全力でいらっしゃいな。
でも少し待ってね。あと少しでトーキチローさんとベアさんもいらっしゃるから。
ちゃんとした模擬戦をやりましょう。
これから幻を見せるけど、マナは普通に行動してくれればいいから。」

それだけ言い残すと華煉は姿を消した。
・・・・いつの間にかベアとトーキチローがそこにいる。
そして、練習試合の相手。3人のお嬢さんも。

・・・・たいしたものだな。幻になどまったく見えない ・・・・行く。」



◆            ◆            ◆



「ふぅ」

マナは気づいていない。
今、行っている模擬戦は私の作った幻影などではない。
これは本当の戦闘。
だけどこの戦闘は無効になる。

「こんなに何度も時が巻き戻るなんて・・・・」

コノシマ ハ フアンテイ ダ・・・・ナガイ シテハ イケナイ
そう・・・・そんなことぐらいわかっている。

「わかっていますとも。清蘭様。」

長い時間拘束された力。清蘭の能力。その残滓がまだ残っている。
私にその残滓が語りかけてくる。
火喰い鳥の里へ戻れと。
一刻も早く戻れと。

自分でも悩んでいた。
悩んで悩んで、清蘭と緋魅が実力行使した時にようやくわかった。
自分の気持ちは決まった。
決まってしまえばもう悩むことなどない。

「ごめんね。マナ。私ね・・・・滅びを選んじゃったみたいなの。一緒に逝ってくれるかな?」

華煉・・・・・華やかな煉獄
どうしてこんな名前を自分が持っているのかわからなかった。

自分は何かを焼き清める役目を持っているらしい。
何かを救済する役割を持っているらしい。
何かしらの罪を焼いて、焼き清める。

あぁそうか。
マナと私はいつかきっと闇に染まる。
きっと私たちは私たち自身の犯す罪を業火で焼き尽くさなければならないんだろう。

この世に精霊として生じた時に与えられた名前。
そのときから決まっていたのかな?
どうして私はこの名前を与えられたんだろう。

「ねぇ、マナ・・・・私の罪は堕精をとめないことだと思う。貴方の罪は何かしら?」

20人以上の焔霊を見て、そして私を選んだ。そのことが貴方の罪なのかしら?

私は・・・・どうしてこの名を与えられた?
どうして私はマナの守護精霊の候補になれた?
いつか破滅を選ぶことが決まっている名前なら選ばれないはずなのに。

多くの焔霊がマナの守護につくことを望んでいた。
マナと同世代に火喰い鳥の民はいない。
なぜかマナが生まれた年は卵が全滅だったのだ。
マナ以外全員死産で。
だから、あの時期に手の空いていた焔霊はみんなマナを望んで・・・・・

全員死産?
どうして?

火喰い鳥の里は火の守護のある里。
あの里で子どもが大量に死産になるなんて。
確かにある程度の確率で死産はあった。
だけど・・・これは異常すぎだ。

死産や事故でなくなり、焔の元服までに生き残った人数が2~3人という年はあった。
だけど、全員死産という年など、あの年以外で聞いたことがない。

マナはある意味で生まれたときから特殊だった。
だから強い力を持つ焔霊から順番に焔の元服に参加したはずだった。

なんだろう。
今となって見ると何か引っかかる。
堕精する焔霊も滅多にいない。
たった一人だけ生き残るなんてことも滅多にない。

マナを選んだこと。
里に帰らずに一緒にいることを選んだこと。
それ自体は正解だと思っている。
なのに・・・・・・自分にはまだ何かが見えていない。
そんな気がする。

ヒントはきっと自分の名前。
ヒントはきっとマナの名前。

「ん・・・・イライラする。なんだろう。」

何も見えていない・・・そのあまりの気持ち悪さ。
私は自分の腕輪にそっと手を置いた。

レン之助にもらったこの腕輪を触ることが癖になりつつある。
心が落ち着く。
マナが大切な人に送りたいといった腕輪。
他の誰のものでもない華煉の物だといってくれた腕輪。
その記憶はマナの記憶に残されていない。
あの一日は巻き戻ってしまったから。
そして今日という一日もまた忘れ去られるはず。

そっとマナを見る。
模擬戦と思っているからか、かなり本気で技を使っている。
普段は使わないような技まで。
華煉にいくつかの技を見せたいんだろう。

「マナ・・・・強くなったね。」

また腕輪にそっと触る。

「一人でも・・・・大丈夫だよね。・・・・・ごめんね、マナ。」

そして華煉は再び糸をつむいで、布を織りはじめた。
PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら