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17thday
「で?俺がなんて答えると思っているんだ?」
「・・・・・・・そんな応え方をしておいて・・・肯定な訳ないわね。」
「さすが。俺のことなら何でもよくわかるんだな。」
「わかりたくなくても、なんとなくわかっちゃうほど強く共鳴したから守護精霊に選んだんでしょ?」
「まぁな。」
華煉が言いにくそうにして俺に頼んだこと。
華煉には甘い自覚のある俺だが、この頼みだけは聞けなかった。
────────この島を離れて欲しい。
確かに特に目的があってこの島にきたわけじゃない。
ずっとウォルフを失った痛手に溺れて無気力になっていた自分を立ちなおせるために、
気分転換のような気持ちでこの島にやってきた。
だが、今となっては多くの仲間とともに行動をしている。
今更抜ける気にはなれない。
そんなことは華煉も百も承知だ。
だから・・・・・・こんなことを言い出す以上何かしらの理由があるはずで・・・
俺は華煉が話してくれるのをただ待つことにした。
だが・・・華煉の表情から考えて、今日は話してくれそうにない。
それを見て取ると、俺はため息をついた。
◆ ◆ ◆
そうよね・・・今更無理よね。
華煉もまた深いため息をついた。
この島の引力に対抗するために現実世界にあるマナの体と自分の空間を霊的に接続した。
華煉の空間は当然精霊界ともつながっている。
その結果、華煉の空間はマナの体のある場所と精霊界の中間に保持されるようになった。
マナの体が現実世界・・・この物質世界にある限りはなんら問題ない。
だが、マナの体がこの世界を離れると華煉の空間は精霊界と別の世界の中間に位置するようになる。
それはすなわち・・・・・マナの身体にどれほど危険が迫ろうとも、マナの身体を自分の空間に逃がすことができなくなった、という意味でもある。
火喰い鳥のナイフの紅瑪瑙石
今まではそれが華煉の空間の位置を決める錨だった。
錨が現実世界にあれば華煉の力は現実世界に作用させ続けることが出来る。
ナイフさえ現実世界に置き去りにすれば、マナの精神だけでなく肉体を一時的に自分の空間に引き上げることが出来るはずだった。
(華煉の空間に来た時にマナが身につけているナイフはマナの精神が作り出したもので、実際には現実世界にナイフは残っている。夢の中で服を身につけていたりアイテムを保持したりしているのと同じようなもの)
だが、この島の強い引力が華煉の空間を精霊界から引き剥がしにかかった。
この島に囚われるのは危険。
華煉は島よりも強い媒体・・マナの身体に自分の空間をつなげるしかなかった。
この状態でマナを心身ともに自分の空間に逃がすと、錨を失った華煉の空間は現実世界とのつながりをなくし、一瞬にして精霊界へと戻るだろう。
結果、華煉は現実世界への道を失い、現実世界へと力を伸ばすことが出来なくなり、マナを現実世界に戻すことも出来なくなる。
マナが現実世界に生を受けた者である以上、精霊界で生きながらえることはできない。
火喰い鳥の民が強い魔に狙われた時に・・・最後の最後に使える手段
守護精霊空間への退避。
最後の避難先。
最後のシェルター
それをマナは失ってしまった。
華煉はまた深いため息をついた。
この島にいる限りは島の影響が強すぎて、華煉の空間を火喰い鳥のナイフにつなぎなおすことは出来ない。
島の引力が強すぎる。
マナが島から出てくれれば・・・・
そうすればもう一度空間配置を変えることが出来る。
マナの体との接続を切り、火喰い鳥のナイフにつなぎなおす。
だが、マナはこの島を出ることを拒否した。
華煉もマナなら拒否するだろうと思っていた。
ため息が止まらない。
こうなってしまった以上、どれほど強い魔が来ても現実世界でマナを守り続けなければならない。
マナの体に直接空間をつなげたため、華煉はマナの体の異変に瞬時に気づくことが出来るし、マナの体を通しての顕現も簡単にできるようになる。
マナを守る力を振るうのもより一層簡単になる。
聖霊にもらった薬を使えばブーストも出来るようになるだろう。
それでも・・・・華煉は自分の身の程を知っている。
薬を使っても、火喰い鳥の民の力で増幅しても、華煉では勝ち得ない“魔”というのは存在する。
少しでも強い力を振るうために・・・
華煉は現実世界への力の行使を増やすことにした。
だが、目だってはならない。
気づかれてはならない。
密かに・・・
だが、いざというときに少しでも多くの力を振るうために。
◆ ◆ ◆
今日もまた白虎隊との練習試合か・・・・
前回は薄氷を踏むような勝利だった。
最後に立っていられたのはトーキチローぐらいだ。
だが・・・今回は?
不器用な俺は、ただ目につく者を切り伏せることしか出来ない。
狙いすました攻撃はトーキチローとベアに任せるしかない。
二人には申し訳ないと思いつつ・・・俺は今回ちょっとした技のテストをすることにした。
舞華と一夜ならうまく受け流すことも出来るだろう。
最近修得したいくつかの技を試すことにして、俺はナイフを研ぎ始めた。
ナイフに映る俺の顔
だが、いつもと違う違和感。
俺の肩の上に何かが乗っている。
何か・・・・小さな明かり
「!」
思わず息を呑む。
俺の肩に乗っていたのは・・・・・・・・・小さな小さな小妖精ぐらいのサイズ
身に纏うのは炎の欠片
「・・・・・俺の力が強くなるまで、顕現できないんじゃなかったのか?」
「事情が変わったのよ。」
この日、この時から、島を出る日まで・・・・
華煉は俺と共にあり続けた。
うわぁ~~ん、マナがマナっぽくないよ~
とーやさん助けて~~~(泣
と・・・こっそり泣き言を書いておく(マテ
どうして私が描くとこうなっちゃうかな・・・(欝
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