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20th day
久しぶりに遺跡の中に戻ってきた。
遺跡外にいた間は華煉が気を遣ってくれたので、会うことがなかった。
俺も遺跡外では吹き矢を使っていたし、本当に会うことがなかった。
だが、せっかくもらった時間内に俺は迷いを断ち切れなかった。
どうするべきか悩みつつ、また遺跡内に戻ってきた。
俺はここで今必要とされている。
だから、悩んでいても行くしかない。
そして俺は吹き矢を火喰い鳥のナイフに持ち替える。
俺の左肩に暖かい気配。
暖かい?
暖かいを超えて熱い!
「華煉!」
「マナ、ちょっと話があるから寝てくれない!」
なぜかわからないが怒っている。
こんなに怒っている華煉は久しぶりに見た。
こういう時は従うに限る。
今は遺跡内に移動してきたばかり。
まだ、トーキチローとベアとも合流を果たしていない。
俺はなんだかわからないまま、軽く眠ることにした。
いつものように華煉にもらったお札を燃やして、香の結界を張ると俺は腰を落として眠りについた。
◆ ◆ ◆
バッチーン
「いて!!いきなり何だ!」
俺が華煉の空間で覚醒するとほぼ同時。
思いっきり頬を平手で殴られた。
「マナ!!貴方鈍感すぎ!!! 今すぐこれ持って謝りに行ってらっしゃい!!
彼女は遺跡外にいるから、魔法陣に戻って、これを渡して、もう一回ここに戻ってきてもまだ合流には間に合うから!」
「ちょっとマテ!彼女って誰だ!俺が何した!」
「貴方、そんなこともわからないの?あきれた。貴方手紙の返事も書いてないでしょう。ジゼルさんに謝りに行きなさい!!」
ジゼル??
ダークエルフの??
確かに少し前にもらった手紙に返事を書くのを忘れた気がする。
忘れた気はするが・・・・
「お前・・・俺宛の手紙読んだのか?」
「・・・・・・読む気はなくても見えちゃうってことぐらい知ってるでしょう?」
確かに常に俺の動向をチェックしている華煉だから、俺が手紙を読むときもその手紙の紙そのものに何かの魔術的な細工がされていないかをチェックする必要があり・・・そのときに中身を見ないようにするのは困難なことぐらい知っている。
だが、例え見ていたとしても、俺のプライバシーを重視する華煉は手紙の中身について言及することは今までは一度もなかった。
だから、それがこんなに不愉快なことだとは・・・今までの俺は知りもしなかった。
「華煉・・・今回はいい。だけど二度と俺の手紙の中身について口出しするな。」
俺がとてつもなく不機嫌になったことに気づいたのだろう。
華煉は素直に ごめんなさい といった。
しかし、
「俺はそんなに彼女に対して悪いことをしたか?」
といったとたん、また怒りはじめた。
「朴念仁!あなたちょっと気が回らなさ過ぎ!!
いいから謝っていらっしゃい!ほら、これ!用意しておいたから!」
そういって俺に何かを押し付けると、華煉は俺を自分の空間から締め出した・・・
◆ ◆ ◆
俺は目を醒ます。
強制的に帰されたのは久しぶりだ。
左手を見るとそこにはユリの花束。
こんなものどうやって用意したんだ?
花束を拾うと火傷した左肩がジンジンと痛む。
思いっきり華煉にやられた場所だ。
こころなしか頬も痛む。
俺はユリの花束を抱えると遺跡の中の太陽の位置を確かめる。
確かに今なら遺跡外に行って戻ってくることは可能だろう。
相当急がなければならないが・・・
しかし・・・俺は何を謝らないといけないんだ??
いまいち要領を得ないまま、俺は遺跡外へと向かった。
◆ ◆ ◆
急いで遺跡外と往復をして・・・俺はベアとトーキチローが待つ場所へと戻ってきた。
どうやら二人をかなり待たせてしまったらしい。
そして練習試合の相手が見える。
あれはあやかし?
蜘蛛の精?
そして、・・・姿がよく見えない・・・あれはトレジャーハンターか?
なぜか「ひじ」と言いたくなった。
そして・・・・もう一人・・メガネをかけた・・・
そいつの姿が見えたとたん嫌な予感がした。
華煉が狂喜しているのがわかる。
・・・俺は前に偽島コンビニでメガネを買ったことがあった。
あいにく俺は似合わなくて今は荷物の片隅で眠っているはずだが・・・
そう・・・華煉は「メガネの似合う人が大好き」なんだそうだ。
火喰い鳥の民は比較的目がよく、メガネをかけている人がいなかった。
俺が思うに、俺と同時期にメガネをかけている候補者がいたら、華煉はきっと俺ではなくそいつの守護についたに違いない。
狂喜している華煉が俺に何事かを伝えてくる。
その内容は・・・・・・。
「勘弁してくれ・・・・・・・・」
華煉が送り込んできた紙を見て、俺は唸りながら頭を抱えた。
華煉が俺に頼んだのは対戦相手へのファンレターの送付。
短冊には何やら和歌が書かれている。
・・・・なんで俺がこんなものを渡さないといけない?
俺は目いっぱいお願いして、心の中で土下座して華煉にあきらめてもらった。
受け取った短冊。
そこに書かれていたのは・・
『いつとても恋しからずはあらねども 秋の夕べはあやしかりけり』
・・・・俺は絶対こんなものを男に渡すのは嫌だ。断固拒否する。
きっと今日の練習試合、華煉は俺を助けてはくれないだろうな。
まったく・・・参った。
遺跡外にいた間は華煉が気を遣ってくれたので、会うことがなかった。
俺も遺跡外では吹き矢を使っていたし、本当に会うことがなかった。
だが、せっかくもらった時間内に俺は迷いを断ち切れなかった。
どうするべきか悩みつつ、また遺跡内に戻ってきた。
俺はここで今必要とされている。
だから、悩んでいても行くしかない。
そして俺は吹き矢を火喰い鳥のナイフに持ち替える。
俺の左肩に暖かい気配。
暖かい?
暖かいを超えて熱い!
「華煉!」
「マナ、ちょっと話があるから寝てくれない!」
なぜかわからないが怒っている。
こんなに怒っている華煉は久しぶりに見た。
こういう時は従うに限る。
今は遺跡内に移動してきたばかり。
まだ、トーキチローとベアとも合流を果たしていない。
俺はなんだかわからないまま、軽く眠ることにした。
いつものように華煉にもらったお札を燃やして、香の結界を張ると俺は腰を落として眠りについた。
◆ ◆ ◆
バッチーン
「いて!!いきなり何だ!」
俺が華煉の空間で覚醒するとほぼ同時。
思いっきり頬を平手で殴られた。
「マナ!!貴方鈍感すぎ!!! 今すぐこれ持って謝りに行ってらっしゃい!!
彼女は遺跡外にいるから、魔法陣に戻って、これを渡して、もう一回ここに戻ってきてもまだ合流には間に合うから!」
「ちょっとマテ!彼女って誰だ!俺が何した!」
「貴方、そんなこともわからないの?あきれた。貴方手紙の返事も書いてないでしょう。ジゼルさんに謝りに行きなさい!!」
ジゼル??
ダークエルフの??
確かに少し前にもらった手紙に返事を書くのを忘れた気がする。
忘れた気はするが・・・・
「お前・・・俺宛の手紙読んだのか?」
「・・・・・・読む気はなくても見えちゃうってことぐらい知ってるでしょう?」
確かに常に俺の動向をチェックしている華煉だから、俺が手紙を読むときもその手紙の紙そのものに何かの魔術的な細工がされていないかをチェックする必要があり・・・そのときに中身を見ないようにするのは困難なことぐらい知っている。
だが、例え見ていたとしても、俺のプライバシーを重視する華煉は手紙の中身について言及することは今までは一度もなかった。
だから、それがこんなに不愉快なことだとは・・・今までの俺は知りもしなかった。
「華煉・・・今回はいい。だけど二度と俺の手紙の中身について口出しするな。」
俺がとてつもなく不機嫌になったことに気づいたのだろう。
華煉は素直に ごめんなさい といった。
しかし、
「俺はそんなに彼女に対して悪いことをしたか?」
といったとたん、また怒りはじめた。
「朴念仁!あなたちょっと気が回らなさ過ぎ!!
いいから謝っていらっしゃい!ほら、これ!用意しておいたから!」
そういって俺に何かを押し付けると、華煉は俺を自分の空間から締め出した・・・
◆ ◆ ◆
俺は目を醒ます。
強制的に帰されたのは久しぶりだ。
左手を見るとそこにはユリの花束。
こんなものどうやって用意したんだ?
花束を拾うと火傷した左肩がジンジンと痛む。
思いっきり華煉にやられた場所だ。
こころなしか頬も痛む。
俺はユリの花束を抱えると遺跡の中の太陽の位置を確かめる。
確かに今なら遺跡外に行って戻ってくることは可能だろう。
相当急がなければならないが・・・
しかし・・・俺は何を謝らないといけないんだ??
いまいち要領を得ないまま、俺は遺跡外へと向かった。
◆ ◆ ◆
急いで遺跡外と往復をして・・・俺はベアとトーキチローが待つ場所へと戻ってきた。
どうやら二人をかなり待たせてしまったらしい。
そして練習試合の相手が見える。
あれはあやかし?
蜘蛛の精?
そして、・・・姿がよく見えない・・・あれはトレジャーハンターか?
なぜか「ひじ」と言いたくなった。
そして・・・・もう一人・・メガネをかけた・・・
そいつの姿が見えたとたん嫌な予感がした。
華煉が狂喜しているのがわかる。
・・・俺は前に偽島コンビニでメガネを買ったことがあった。
あいにく俺は似合わなくて今は荷物の片隅で眠っているはずだが・・・
そう・・・華煉は「メガネの似合う人が大好き」なんだそうだ。
火喰い鳥の民は比較的目がよく、メガネをかけている人がいなかった。
俺が思うに、俺と同時期にメガネをかけている候補者がいたら、華煉はきっと俺ではなくそいつの守護についたに違いない。
狂喜している華煉が俺に何事かを伝えてくる。
その内容は・・・・・・。
「勘弁してくれ・・・・・・・・」
華煉が送り込んできた紙を見て、俺は唸りながら頭を抱えた。
華煉が俺に頼んだのは対戦相手へのファンレターの送付。
短冊には何やら和歌が書かれている。
・・・・なんで俺がこんなものを渡さないといけない?
俺は目いっぱいお願いして、心の中で土下座して華煉にあきらめてもらった。
受け取った短冊。
そこに書かれていたのは・・
『いつとても恋しからずはあらねども 秋の夕べはあやしかりけり』
・・・・俺は絶対こんなものを男に渡すのは嫌だ。断固拒否する。
きっと今日の練習試合、華煉は俺を助けてはくれないだろうな。
まったく・・・参った。
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