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2nd day
『もう3月になるか・・・』
焔の元服を経て2年間火喰い鳥の里で暮らしていたが、両親の死去をきっかけに里を出たのが一年前。
最初に降り立った村では有翼種が珍しかったらしく、奇異の目で見られたことから翼を極力隠し自分の足で旅をしてきた。
その後、有翼種や獣人がそれほど珍しくないことを知って、翼を広げることも多くなったが、未だに一般のヒトの族とはなじめない。
だが、さまざまな地域で活動をすることが多いためか、冒険者やトレジャーハンターはヒトの中でも有翼種や獣人に対してフランクな者が多いと知って、次第に冒険者達と行動することが多くなっていた。
そんなある日冒険者達から1つの噂を耳にした。
七つの宝玉の眠る島 財宝の島
多くの冒険者達が島の話で沸き立つ中、マナは少し悩んでいた。
ヒトの多いところは今でも苦手にしているし・・・それに遺跡のある島には少し嫌な思い出があった。
・・・・ウォルフ
それは里を出て最初にめぐり合った友
人語を解する神狼
マナの翼を気に入り、いつも背後で戦ってくれた勇敢な戦士
いつも一緒にいた友は、遺跡のある島で火炎により命を失った。
焔に対する耐性のあるマナは必死で焔を防ぐ盾になろうとしたが、火の勢いは強く守りきれなかった。
自分の目の前で友の体が灰になっていくのをただ見送ることしかできなかった。
ウォルフを失ってから3ヶ月。
同じように遺跡で火に追われ、火傷した数人の冒険者を救った功労金のおかげで、この3ヶ月は何もしなくても不自由のない生活だった。
だが、いつまでもこのままではいられない。
そろそろ立ち直らなければならない時期になっていることは自分でもわかっている。
悩みながらも冒険者の集うラウンジに足を延ばすと、そこには島への同行者を求める者達が多数集まっていた。
そんな中に・・・・・・・なぜか妙に目立つ長身の赤毛の狐系獣人。
どうやら複合パーティのメンバーを募集しているらしい。
『こいつだったら、多少のことでくたばりそうにないな。むしろ俺がついて行く方が大変だろう』
そんなことを考えながら、マナは声をかけた。
「俺も一緒にいってもいいか?」
これがすべての始まり。
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遺跡のある島までおもむき、最初の魔法陣をチェックしてから、舞華に言われた集合場所へと足を踏み入れた。
舞華の集めた複合パーティのメンバーが集まってみると予想通り獣人が多かった。
狐、龍、猿、熊、猫、・・・・
ヒトも4人いたが、いずれも変わった連中ばかりだった。
『この中ならそれほど違和感を感じずに行動できるだろう。』
少しリラックスして話の輪の中に加わった。
最初に自分たちの得意なものを話ながらPTを組み分けて行く。
だが、どうもマナの能力が中途半端なようだ。
少し考え、マナは自分の名に宿った力を封じることにした。
マインドスナッチ
マナの名には魅惑の力が篭っている。
だが、その名の力を十全に振るうには自身のほかの戦闘能力を犠牲にすることになる。
・・・・・・俺に魅了されて、俺になついてくれる者を喪うのは・・・
・・・・・・今はまだ早い。あれからまだ3月しか経っていない。
名を封じよう。俺はマナ。それでいい。そう決めた。
「パーティのために自分の能力を無理に封じなくても・・・多人数だし楽しくいきませんか」
ニコニコ笑って声をかけてきたのは、線の細いやさしげな秀麗な顔をした1人の男。
後ろで気の弱そうな男も頷いている。妙に左右非対称な顔を持った印象の散漫な男だ。
『確か・・・召喚士と弓士だったな』
「いや、気にしないでくれ。俺は今回剣を鍛えたいんでな」
心の中で二人の気遣いに感謝しながらも、マナは自分の名に秘められた力に少しずつ封印を施していった。
生まれたときに与えられる真の名の力は生まれて最初に彫り込まれる額の刺青と強い相関を持っている。
その刺青の力を封じて行くと、元服の度に与えられたほかの三つの力が逆に開放されていく。
左右の刺青と胸の刺青がくっきりと色あざやかになっていき・・・・マナは自身の体格が強化されたことを感じていた。
少し席を外して、遺跡のほうに足を進め、誰も見ていないのを確認してから、翼で遺跡の上へと飛び乗った。
そこに落ちていた石を軽く宙に放り投げ、愛用のナイフを振るった。
音すらしなかった。
ただナイフが風を切る気配だけを残して、まるでやわらかい物を斬ったかのように音もなく石は二つにぱっくりと割れていた。
マナは満足そうにそれを見つめるとパーティの元へと戻った。
戻る頃にはパーティのメンバーは決まっていた。
マナのパーティにヒトは居ない。唯一の完全な獣人パーティ。
合言葉を決めると、いよいよ9人で遺跡へと向かう時がやってきた。
ミーティア(866)からのメッセージ:
ミーティア「火喰い鳥の……鳥?よろしくねー。」
おさる(1041)からのメッセージ:
おさる「宜しく頼むキャッ」
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