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30th day(PartⅡ)
今回はじめて文字数制限の都合で・・・を…にしました。
詰まってて気持ち悪い。
こちらでは修正させてください。スペースもたっぷり使いたい。
「強いのぉ。強くなったのぉ・・・あの子もたいしたものじゃて。敵には回したくないのう。剣呑、剣呑。」
「まだ、かかりますの?」
清蘭はゆっくりと華煉の結界を緩めていった。
だが、ある意味強い。
マナのために華煉が作った結界。
堕精しかけている華煉の作った結界は物質体を通しにくい。
精神体である清蘭と緋魅はすでにこの結界を出ることが出来た。
だが・・・・マナが通らない。
─────マナだけは連れて行かせない。
その思いが結界を強固にしている。
この島で一番水の力の強い地。
水の宝玉の近くにあるこの地では緋魅の力も抑えられている。
頼りになるのは清蘭の力のみ。
だが、清蘭は高位の精霊である聖霊族。
このような物体に作用する精緻な結界を解くのはあまり向いていない。
時間がかかる。
だけど、それでも・・・・・・・・この火喰い鳥の民を火喰い鳥の里へ帰さねばならない。
華煉のために。
「ぅん ・・・ベア ・・・・ここどこだ?」
緋魅と清蘭は顔を見合わせた。
意識を失ったマナの精神体は華煉の空間に届く前に緋魅が封じていた。
だが、この地では緋魅の力にも限界がある。
もう少し寝ていてもらわないと困るのだが、目覚めてしまった。
緋魅は幻を紡ぐ。
あと少しおとなしくしておいてもらわないといけないのだ。
『マナ、ぼけたのか。ここは森だ。俺たちはペリケペルカを目指して鹿のいる森へ来たところだ』
「・・・・・・俺たちは水の宝玉を取りにいくんじゃなかったか」
『マナとハーカが火属性で水の宝玉は取りやすいから最後に回そうって舞華が言ったじゃないか』
「そう・・・だったか?」
『鹿の時はソロだからな。どうせマナは後から飛んで俺たちを追い抜いていくんだろう?俺たちは先に出るけど、まだ眠っていていいぞ。』
「そう・・・か」
『おやすみ、マナ』
「うまくごまかせたかいのぉ?」
「えぇ・・・・・眠ってくれました。本当に・・・・無防備で間抜けな坊やだこと。」
「じゃが、そう長く持ちそうにないの。儂も頑張るとしようかのぉ」
「お願いいたします。清蘭様。」
夢の中で声がする。
・・・・・・・・マナ、マナ・・・・お願い。思い出して。私よ。
うるさい、俺はもう少し眠っていたい。
・・・・・・・・マナ、思い出して。紅葉の市にいったでしょう。
紅葉の市。すばらしい歌う石を手に入れた。あの吟遊詩人の紡ぐ歌と歌う石。
今も俺の宝物だ。
そうだ。あの石の歌を聴きながら眠りにつこう。
・・・・・・・マナ、思い出して。指輪を手に入れたときのこと。
レン之助という男がいた。信頼できそうな強い剣士。
闘技大会で会った男が売っていた。赤い宝石のついた指輪。
一目見て気にいって買った。俺は彼に扇子を渡したが使ってもらえただろうか。
・・・・・・・マナ、そのとき誰と一緒に居たかを思い出して。私よ。華‥よ。
誰と一緒に?
俺は一人だった。俺は一人で扇子を渡して腕輪と指輪を受け取ったんだ。
・・・・・・・・マナ、指輪は貴方の指にある
そうだ。
・・・・・・・腕輪は?
腕輪・・・・・・そういえば持っていないな。あれはセットになっていたのに。
・・・・・・・腕輪を誰に渡したか思い出して。マナ
あの赤い石は恋愛の運気があがると言っていた
・・・・・・・恋愛の?
あぁ。だから、そうだな。きっと許婚に送ろうと思ったんだ。俺はあれをとても愛しい人に渡したかったのだから
・・・・・・・・・
もう・・・・眠らせてくれ。
・・・・・・・・・マナ、思い出して。私を呼んで。ここにいるのに。マナ・・・・
「マナ・・・・・・・・・」
声は届くのに思い出してもらえない。
清蘭と緋魅の精神結界はマナをがんじがらめにしている。
啜り泣く声が響く。
自らの制する空間の中。それなのにその中に築かれた清蘭の結界を破ることが出来ない。
「マナ・・・・・思い出してよ。ばかぁ・・・・・・」
何度も何度も言ったでしょう。私の名前を呼んで、と。
そしたら私は強くなれる。
私は貴方のところに行けるのに。
なのに
「どうして忘れちゃったの・・・・・・・思い出してよ、マナぁ」
啜り泣く声がやがて号泣に変わる。
慟哭しても答えはない。
遠くで小さな女の子が泣いている。
俺はその子を守ってあげたいと思った。
その子を泣かせたくないと思った。
「だ・・・れだ・・・・・・泣いて」
『うっそー マナ君、うちが泣くわけないやん。引っかかった?引っかかった?』
「一夜・・・か・・・・・いや、もっと小さな子が・・・・」
『私。そんなに、イヤ、かしら?』
「ハー・・・・カ?自分の・・・つよ・・さ・・・しらない・・のか」
『私が泣くわけあらへんえ。』
「そうだな・・・舞華は・・・・俺より・・・・つよ・・・・」
『きゃー時間なーい』
「ミー・・・・ティア?ちが・・・・」
『眠りなさい』
今のは誰の声?
「ふぅ」
「お互い苦戦しておるのぉ」
「大丈夫。この男、思い出す様子は欠片もないから。それより結界を頼みますね、清蘭様」
俺が守りたいと思った女の子。
とても大事で・・・・・・そして俺はその子が成長した時に、xxxxになった。
俺は眞那(まな)と呼ばれていた。
そして、その女の子の名は・・・・・
「ヵ‥レ‥」
「いかん!」
清蘭がマナに力を叩きつける。
マナはまた静かになった。
「油断するな。絶対に名前を呼ばせてはいかん。もう繰り返してはならないんじゃ。・・・・・緋魅?」
「・・・・・・・・・大丈夫です。華煉の泣く声が気になって」
「ここで気を抜けばあの子はもっと泣くことになる。」
「そう・・・・でしたね」
『華煉の泣く声が気になって』
今、誰かがそういった。
華煉?
遠くで聞こえる泣き声。
小さな女の子が泣いていると思ったのに。
あれは小さな女の子じゃない。
泣いているのは、慟哭しているのは、俺の大事な大事な・・・・・
どうして忘れていたんだろう。
もう泣かなくていいんだよ。
俺は思いだしたから。
そんなに泣かなくていいんだ。
聞こえるか?
俺が呼べば強くなれるのだろう?さぁ泣きやんで・・・・
「華煉」
「しまった!」
「マナ!」
マナが目覚め、名を呼んだ。
守護契約の証、胸の刺青に手を置いて。
力を最も増幅させる条件で名前を呼ばれ、華煉は最大の力を揮った。
清蘭の結界を破り、島の魔法陣を潜り抜け、水の力の強い森を抜け、一瞬でマナの元へ。
華煉がマナに触れたとき、華煉の力で清蘭と緋魅は吹き飛ばされた。
元々精神体なら抜けられる程度の穴が出来ていた結界から清蘭と緋魅を吹き飛ばし、瞬時に結界を強化した。
もはや華煉の結界を抜けて島に入ることは清蘭と緋魅であっても不可能。
昨日、島へと落ちてきた光と炎はすさまじい勢いで島から弾き飛ばされた。
「華煉・・・・・すまない。許してくれ」
精神結界を強くするために華煉の空間に引き込まれる。
眠った俺が華煉のところに辿りついたのを見て、ほっとしたような顔をしたとおもったら・・・・
そのまま泣かれてしまった。
泣かせてしまった。
「悪かった。華煉。ごめん。」
俺の大事な大事な守護精霊。どうして忘れるなんてことが出来たんだろう。
あんなに名前を呼んでくれといわれていたのに。
「華煉、もう泣くな。俺が悪かった。華煉」
長い髪を撫でながら、何度も何度も名前を呼んで謝って・・・・・
そして、華煉が少し落ち着いたのを見計らって、俺は一つの疑問を口にする。
「華煉、俺はお前を不幸にしようとしているのか?俺はどうしたらお前を助けられる?」
氷彌・・・緋魅と名乗ったあの精霊が誰のことを言っていたのか、俺はようやく気がついた。
あまりにも身近で気づかなかった俺の大事な・・・・・
「華煉?」
「マナ、私、幸せよ。私、マナと一緒にいられて本当に幸せだから。」
華煉は顔をあげると未だ涙を流しながらそれでもにっこりと笑った。
「ごめんね。マナ」
「華煉?」
「本当はね、私と一緒じゃないほうがマナは幸せになれそうなの。でもね、私、嫌なの。」
「・・・・・・」
「ねぇ、マナ。私ずっと一緒でもいいかな?マナが望むなら・・・・・・・・守護契約解除してもいいよ。
でも・・・・ね・・・・マナがいいなら」
一緒に居たい・・・・・
言葉にならないその声を、想いを、俺は確かに聞いたと思った。
俺はぽんと華煉の頭をたたいた。
「知らないのか?華煉。俺、焔の元服2回失敗してるんだ。華煉に会う前に」
「マナ?」
「俺20以上の精霊を見た。でも、俺が選んだのは・・・・
俺を守護するのはお前以外いない。
お前が降りるなら俺は一生里から出られないだろう。俺はもう少し世界を回りたい。この島にいたい。だから」
俺はもう一度ぽんと華煉の頭を軽く叩いた。
「もう二度と守護契約解除なんて言うな。」
この瞬間に何かが決まった。
俺はずっとあとになるまで気がつかなかったが。
「マナ、この腕輪・・・・・・・私がもらってよかったのかな?」
華煉の腕には赤い石のついた腕輪。
「どうかしたのか?それはレン之助が華煉に、ってくれたものだ。華煉以外の誰の物でもないと思うが?」
「うん。そうよね。この腕輪…私がもらっておいていいのよね。」
「華煉?どうした何か変だぞ?その腕輪がどうかしたのか?」
「ううん、いいの。マナ・・・・・マナの守護精霊になれてよかった。私は幸せだから・・・・・・
だから、マナ。今日を忘れて。」
「華煉?」
「この島に変革の時が訪れる。もう少し。あと少しで。」
そして衝撃!
俺は意識を失った。
「時が巻き戻りましたね。あの男は今日起こったことを忘れてしまう。華煉は・・・・あの子は・・・・・・破滅を選んだも同然だわ。」
あの二人・・・・・・このまま無事で済むはずがない。
「島の時が巻き戻るなんて・・・・・運命はあの子達を常に破滅へと導くのでしょうか・・・・清蘭様」
「それでも、まだ微かな希望が残っておる。あの火喰い鳥の民に賭けるしかないのぉ」
微かな希望。
無事に火喰い鳥の里に戻る。たったそれだけでいい。
どうか、あの二人が戻りますように。あの里へ。あの結界の中へ。
緋魅は祈る。清蘭も祈る。そして、 もまた祈っていた。
どうか・・・・・・・どうか・・・・・マナを、華煉を・・・・・・・
詰まってて気持ち悪い。
こちらでは修正させてください。スペースもたっぷり使いたい。
「強いのぉ。強くなったのぉ・・・あの子もたいしたものじゃて。敵には回したくないのう。剣呑、剣呑。」
「まだ、かかりますの?」
清蘭はゆっくりと華煉の結界を緩めていった。
だが、ある意味強い。
マナのために華煉が作った結界。
堕精しかけている華煉の作った結界は物質体を通しにくい。
精神体である清蘭と緋魅はすでにこの結界を出ることが出来た。
だが・・・・マナが通らない。
─────マナだけは連れて行かせない。
その思いが結界を強固にしている。
この島で一番水の力の強い地。
水の宝玉の近くにあるこの地では緋魅の力も抑えられている。
頼りになるのは清蘭の力のみ。
だが、清蘭は高位の精霊である聖霊族。
このような物体に作用する精緻な結界を解くのはあまり向いていない。
時間がかかる。
だけど、それでも・・・・・・・・この火喰い鳥の民を火喰い鳥の里へ帰さねばならない。
華煉のために。
「ぅん ・・・ベア ・・・・ここどこだ?」
緋魅と清蘭は顔を見合わせた。
意識を失ったマナの精神体は華煉の空間に届く前に緋魅が封じていた。
だが、この地では緋魅の力にも限界がある。
もう少し寝ていてもらわないと困るのだが、目覚めてしまった。
緋魅は幻を紡ぐ。
あと少しおとなしくしておいてもらわないといけないのだ。
『マナ、ぼけたのか。ここは森だ。俺たちはペリケペルカを目指して鹿のいる森へ来たところだ』
「・・・・・・俺たちは水の宝玉を取りにいくんじゃなかったか」
『マナとハーカが火属性で水の宝玉は取りやすいから最後に回そうって舞華が言ったじゃないか』
「そう・・・だったか?」
『鹿の時はソロだからな。どうせマナは後から飛んで俺たちを追い抜いていくんだろう?俺たちは先に出るけど、まだ眠っていていいぞ。』
「そう・・・か」
『おやすみ、マナ』
「うまくごまかせたかいのぉ?」
「えぇ・・・・・眠ってくれました。本当に・・・・無防備で間抜けな坊やだこと。」
「じゃが、そう長く持ちそうにないの。儂も頑張るとしようかのぉ」
「お願いいたします。清蘭様。」
夢の中で声がする。
・・・・・・・・マナ、マナ・・・・お願い。思い出して。私よ。
うるさい、俺はもう少し眠っていたい。
・・・・・・・・マナ、思い出して。紅葉の市にいったでしょう。
紅葉の市。すばらしい歌う石を手に入れた。あの吟遊詩人の紡ぐ歌と歌う石。
今も俺の宝物だ。
そうだ。あの石の歌を聴きながら眠りにつこう。
・・・・・・・マナ、思い出して。指輪を手に入れたときのこと。
レン之助という男がいた。信頼できそうな強い剣士。
闘技大会で会った男が売っていた。赤い宝石のついた指輪。
一目見て気にいって買った。俺は彼に扇子を渡したが使ってもらえただろうか。
・・・・・・・マナ、そのとき誰と一緒に居たかを思い出して。私よ。華‥よ。
誰と一緒に?
俺は一人だった。俺は一人で扇子を渡して腕輪と指輪を受け取ったんだ。
・・・・・・・・マナ、指輪は貴方の指にある
そうだ。
・・・・・・・腕輪は?
腕輪・・・・・・そういえば持っていないな。あれはセットになっていたのに。
・・・・・・・腕輪を誰に渡したか思い出して。マナ
あの赤い石は恋愛の運気があがると言っていた
・・・・・・・恋愛の?
あぁ。だから、そうだな。きっと許婚に送ろうと思ったんだ。俺はあれをとても愛しい人に渡したかったのだから
・・・・・・・・・
もう・・・・眠らせてくれ。
・・・・・・・・・マナ、思い出して。私を呼んで。ここにいるのに。マナ・・・・
「マナ・・・・・・・・・」
声は届くのに思い出してもらえない。
清蘭と緋魅の精神結界はマナをがんじがらめにしている。
啜り泣く声が響く。
自らの制する空間の中。それなのにその中に築かれた清蘭の結界を破ることが出来ない。
「マナ・・・・・思い出してよ。ばかぁ・・・・・・」
何度も何度も言ったでしょう。私の名前を呼んで、と。
そしたら私は強くなれる。
私は貴方のところに行けるのに。
なのに
「どうして忘れちゃったの・・・・・・・思い出してよ、マナぁ」
啜り泣く声がやがて号泣に変わる。
慟哭しても答えはない。
遠くで小さな女の子が泣いている。
俺はその子を守ってあげたいと思った。
その子を泣かせたくないと思った。
「だ・・・れだ・・・・・・泣いて」
『うっそー マナ君、うちが泣くわけないやん。引っかかった?引っかかった?』
「一夜・・・か・・・・・いや、もっと小さな子が・・・・」
『私。そんなに、イヤ、かしら?』
「ハー・・・・カ?自分の・・・つよ・・さ・・・しらない・・のか」
『私が泣くわけあらへんえ。』
「そうだな・・・舞華は・・・・俺より・・・・つよ・・・・」
『きゃー時間なーい』
「ミー・・・・ティア?ちが・・・・」
『眠りなさい』
今のは誰の声?
「ふぅ」
「お互い苦戦しておるのぉ」
「大丈夫。この男、思い出す様子は欠片もないから。それより結界を頼みますね、清蘭様」
俺が守りたいと思った女の子。
とても大事で・・・・・・そして俺はその子が成長した時に、xxxxになった。
俺は眞那(まな)と呼ばれていた。
そして、その女の子の名は・・・・・
「ヵ‥レ‥」
「いかん!」
清蘭がマナに力を叩きつける。
マナはまた静かになった。
「油断するな。絶対に名前を呼ばせてはいかん。もう繰り返してはならないんじゃ。・・・・・緋魅?」
「・・・・・・・・・大丈夫です。華煉の泣く声が気になって」
「ここで気を抜けばあの子はもっと泣くことになる。」
「そう・・・・でしたね」
『華煉の泣く声が気になって』
今、誰かがそういった。
華煉?
遠くで聞こえる泣き声。
小さな女の子が泣いていると思ったのに。
あれは小さな女の子じゃない。
泣いているのは、慟哭しているのは、俺の大事な大事な・・・・・
どうして忘れていたんだろう。
もう泣かなくていいんだよ。
俺は思いだしたから。
そんなに泣かなくていいんだ。
聞こえるか?
俺が呼べば強くなれるのだろう?さぁ泣きやんで・・・・
「華煉」
「しまった!」
「マナ!」
マナが目覚め、名を呼んだ。
守護契約の証、胸の刺青に手を置いて。
力を最も増幅させる条件で名前を呼ばれ、華煉は最大の力を揮った。
清蘭の結界を破り、島の魔法陣を潜り抜け、水の力の強い森を抜け、一瞬でマナの元へ。
華煉がマナに触れたとき、華煉の力で清蘭と緋魅は吹き飛ばされた。
元々精神体なら抜けられる程度の穴が出来ていた結界から清蘭と緋魅を吹き飛ばし、瞬時に結界を強化した。
もはや華煉の結界を抜けて島に入ることは清蘭と緋魅であっても不可能。
昨日、島へと落ちてきた光と炎はすさまじい勢いで島から弾き飛ばされた。
「華煉・・・・・すまない。許してくれ」
精神結界を強くするために華煉の空間に引き込まれる。
眠った俺が華煉のところに辿りついたのを見て、ほっとしたような顔をしたとおもったら・・・・
そのまま泣かれてしまった。
泣かせてしまった。
「悪かった。華煉。ごめん。」
俺の大事な大事な守護精霊。どうして忘れるなんてことが出来たんだろう。
あんなに名前を呼んでくれといわれていたのに。
「華煉、もう泣くな。俺が悪かった。華煉」
長い髪を撫でながら、何度も何度も名前を呼んで謝って・・・・・
そして、華煉が少し落ち着いたのを見計らって、俺は一つの疑問を口にする。
「華煉、俺はお前を不幸にしようとしているのか?俺はどうしたらお前を助けられる?」
氷彌・・・緋魅と名乗ったあの精霊が誰のことを言っていたのか、俺はようやく気がついた。
あまりにも身近で気づかなかった俺の大事な・・・・・
「華煉?」
「マナ、私、幸せよ。私、マナと一緒にいられて本当に幸せだから。」
華煉は顔をあげると未だ涙を流しながらそれでもにっこりと笑った。
「ごめんね。マナ」
「華煉?」
「本当はね、私と一緒じゃないほうがマナは幸せになれそうなの。でもね、私、嫌なの。」
「・・・・・・」
「ねぇ、マナ。私ずっと一緒でもいいかな?マナが望むなら・・・・・・・・守護契約解除してもいいよ。
でも・・・・ね・・・・マナがいいなら」
一緒に居たい・・・・・
言葉にならないその声を、想いを、俺は確かに聞いたと思った。
俺はぽんと華煉の頭をたたいた。
「知らないのか?華煉。俺、焔の元服2回失敗してるんだ。華煉に会う前に」
「マナ?」
「俺20以上の精霊を見た。でも、俺が選んだのは・・・・
俺を守護するのはお前以外いない。
お前が降りるなら俺は一生里から出られないだろう。俺はもう少し世界を回りたい。この島にいたい。だから」
俺はもう一度ぽんと華煉の頭を軽く叩いた。
「もう二度と守護契約解除なんて言うな。」
この瞬間に何かが決まった。
俺はずっとあとになるまで気がつかなかったが。
「マナ、この腕輪・・・・・・・私がもらってよかったのかな?」
華煉の腕には赤い石のついた腕輪。
「どうかしたのか?それはレン之助が華煉に、ってくれたものだ。華煉以外の誰の物でもないと思うが?」
「うん。そうよね。この腕輪…私がもらっておいていいのよね。」
「華煉?どうした何か変だぞ?その腕輪がどうかしたのか?」
「ううん、いいの。マナ・・・・・マナの守護精霊になれてよかった。私は幸せだから・・・・・・
だから、マナ。今日を忘れて。」
「華煉?」
「この島に変革の時が訪れる。もう少し。あと少しで。」
そして衝撃!
俺は意識を失った。
「時が巻き戻りましたね。あの男は今日起こったことを忘れてしまう。華煉は・・・・あの子は・・・・・・破滅を選んだも同然だわ。」
あの二人・・・・・・このまま無事で済むはずがない。
「島の時が巻き戻るなんて・・・・・運命はあの子達を常に破滅へと導くのでしょうか・・・・清蘭様」
「それでも、まだ微かな希望が残っておる。あの火喰い鳥の民に賭けるしかないのぉ」
微かな希望。
無事に火喰い鳥の里に戻る。たったそれだけでいい。
どうか、あの二人が戻りますように。あの里へ。あの結界の中へ。
緋魅は祈る。清蘭も祈る。そして、 もまた祈っていた。
どうか・・・・・・・どうか・・・・・マナを、華煉を・・・・・・・
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