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47th day
遺跡内
・・・・なのに、広がる青い空
ともに宙を舞うのは、ドラゴンの少女
強い火の力
彼女には私と違った火の守りがある。
彼女と一緒はいつも楽しい。
彼女と一緒なら私は遠慮なく自分の気を放つことが出来る。
楽しい、愉快、心のままに放つ炎はまるで花火のように空を舞う。
炎の残像が空を彩る。
あぁ綺麗だ。
心からそう思う。
マナ・・・・最近、疲れているみたいだった。
マナにも見せてあげたい。
この綺麗な空を。
いつか二人一緒に宙を舞う。
そんな日が来て欲しいと、心から思った。
いつか・・・・いつの日か・・・・今日と同じぐらい澄んだ青い空を二人で・・・・。
◆ ◆ ◆ ◆
狭い紅瑪瑙石の中の空間
マナの魂が人型をとって住まう場所。
人であることを忘れないように、自我がぼやけないようにするために、ごく普通のヒトの生活空間が再現されている。
小さなテーブルと椅子
テーブルの上には古文書の山
食事をするためのテーブルとは思えない有様。
魂だけとなった今・・・食事はもはや必要ない。
他の家具もほとんどが物置と化している。
何のためにヒトとして生きる空間が用意されたのか、これでは意味不明だ。
ただ、精神が休むことを求めるのか・・・ベッドだけはきちんと使われている。
そんな日々の安らぎを与えてくれるはずのベッドの上で、マナは内側から侵食される痛みにのた打ち回っていた。
「くっ・・・・」
(俺の魂を侵食するな。俺は俺だ。)
もう何度繰り返しただろう。
自分に言い聞かせないとすぐに侵食されてしまいそうな・・・感情がないのに驚くほど貪欲な魂。
夢幻の造られしもの。
そこから生まれたマナの雫が俺を苦しめる。
(まだだ。俺にはまだやらないといけないことがある!)
意識が爆ぜる。
「ぁ・・・はぁ・・・」
ベッドの上で呼吸を乱しながらも、俺はなんとか押さえ込むことに成功した。
これも何度繰り返したことか・・・
マナの雫
それを華煉に取り込ませたくなかった。
この島を包む狂気が俺の体に染み込んで・・・・その中にいる華煉の魂を徐々に汚染するなど耐え難い。
華煉が取り込むぐらいなら、俺が取り込んだ方がはるかにましだ。
その気持ちは今も変わっていない。
だが・・・この雫は本当に取り込まなければならなかったんだろうか?
俺は・・・・
「落ちついとるかの?」
いつの間にか目を腕で覆って世界から目を背けていたらしい。
だから、気づかなかった。
俺はベッドの上で上体を起こした。
視界に映る、金色の髪、白い肌、飄々とした一見年齢不肖な男
外見は若い。
だが、その魂は年老いているのだろう。
見かけと乖離した落ち着きのある所作。
独特の言葉遣い。
旧知の聖霊
「清蘭・・・・」
清蘭がそっと俺の額に指を伸ばす。
指が俺の額に触れた瞬間・・・・俺を苦しめていた頭痛と疲労がすっと治まっていく・・・。
「ずいぶん・・・・苦しんでおるようじゃの。儂に出来ることはないか?」
俺は思わず吹き出してしまった。
「俺の痛みを一瞬で和らげておいて、この上まだ何かしてくれるなんて・・・・清蘭、本当にあんた、俺のことが好きだな」
そう。
ずっと前から気づいていた。
この精霊らしからぬ聖霊は・・・いつの間にか俺と華煉に感情移入しすぎて、どっぷりと浸かってしまっている。
俺と華煉に振り回される道に迷い込んでしまったようだ。
俺は知っている。
清蘭は一番に華煉のことを考えている。
それだけではなく・・・・華煉の幸せと利害が衝突しない限りは、俺のことも考えてくれていることに。
だから、俺は清蘭に弱いし、清蘭をすっかり身内と思っている。
俺のいった言葉に一瞬だけ顔をしかめたあと、俺を軽く小突いてくるそんな少し照れた態度。
親友というには畏れ多いところはあるけど、彼を慕うのにそれほど時間はかからなかった。
「で、今日はどうしたんだ?俺としてはこうやって話しているだけでもうれしいけど。」
華煉と清蘭以外誰もたずねてくる事のないこの場所。
華煉が火喰い鳥のナイフを掲げない限りは外もほとんど見ることは出来ない。
彼が来てくれる事が俺にとってどれだけ多くの助けになっていることか。
「ふむ・・・・お主の自我が安定したらじゃがのぉ・・・・頼みたいことがある。」
「いいよ。」
あっさりと答えたら、清蘭は固まってしまった。
「清蘭?どうかしたか?俺なら別にいいけど?頼みって何だ?」
俺が声をかけるとはっと気を取り直して、そして何故か不機嫌な顔をした。
苦虫を噛み潰したようなというのはこんな表情だろうか?
「清蘭?」
「お主・・・・・無防備すぎるぞ!内容も聞かずにそんなにほいほいと了承しおって!そんなことではいつ悪意あるものどもに狙われてもおかしくないぞ!」
「別に誰にでもこんな風に了承するわけじゃないさ。清蘭、あんたが華煉の不利になることをするわけがない。どうしても必要だから俺に頼みに来たんだろう?
それに頼みってことは俺の意思も尊重してくれるつもりなんだろう?それなら、俺が断る理由なんかないさ。それに精霊の難しい術なんか聞いたところで理解できるとは思えないからな。
・・・・・清蘭?どうした。真っ赤だぞ?」
怒っているのか?
今日は表情をくるくる変えて・・・・体調でも悪いのか?いや、それ以前に聖霊にも体調とかあるのか?
今度華煉に聞いてみるか。
俺はそんなことをのんびりと考えて、もう一度清蘭の顔を見た。
「ちょっと出直すわい!」
そういい残して顔を真っ赤にしたまま清蘭はふっと消えてしまった。
・・・・・・
「何だったんだ?」
◆ ◆ ◆ ◆
「まいった・・・」
火喰い鳥の民として育ちながら、どうしてあそこまで真っ直ぐなんじゃ?あの男は。
華煉も単純で真っ直ぐじゃから・・・類が呼んだのかのぉ。
あんな風に絶対的な信頼を寄せられては、こちらが照れる。
真っ直ぐで疑うことを知らなくて・・・・
「困った。本当に捉まったようじゃの。」
真っ直ぐで純粋なあの男と華煉とどちらも守りきらないと、儂まで精神的にダメージを受けそうじゃ。
長いこと精神体として生きてきたこの儂であっても大きな精神的ダメージなど受けたくはない。
「守りきるというのは破壊するよりも大きな力がいる。一度破滅へと向かいだしたものを、守りきるのは特にのぉ。」
守りきるには相手のことをすべて知らねばならぬ。
意を決して清蘭はもう一度マナのところへ戻った。
◆ ◆ ◆ ◆
「清蘭」
「おぬしに時間回帰を試みたい。もちろんお主がこの前飲み込んだあの魂を昇華してからじゃないとうまくいかんのでな。あの造られしものの前世などみても意味がない。お主の・・・・現世に来る前の遠い遠い昔にお主が誰だったのかを知りたい。」
時間回帰?
俺の生まれる前?
つまり・・・・
「俺と華煉のどちらの前世が最初に堕精した火喰い鳥の民の始祖であるかを知りたいという意味か?」
「前世どころか何世代も遡らねばならんじゃろうけどな。その通りじゃよ。お主と華煉、どちらが燦伽の魂でどちらがイールの魂なのかを知っておきたい。」
「それであんたがすっきりするなら別に俺はいいよ。でも知ってどうするんだ?」
知ってどうするか。
ふむ・・・確かにそうじゃのぉ。
知ったら、燦伽のほうだけを火霊に転生させ、イールの魂を転生の輪に返さないというのが本来儂のとるべき道じゃろうな。
だが、二人とも守りきると決めた今、それを知ったら儂はどうするんじゃろうな。
「ただ知りたいだけじゃよ。それに今はまだ無理なようじゃ。お主はお主を侵食している奴に先に打ち勝たねばのぉ。」
清蘭がマナの魂にそっと触れる。
それだけで魂の形がくっきりと強くなる。
「マインドスナッチ 良い名じゃの。名には力が宿る。魅惑の力を封じたようじゃが、名は封じられぬ。
お主は他者の魂を縛しても決して自分を見失うことはあるまい。生まれ持った名とその名の力がお主自身を守る。」
名前を呼ぶ。
それだけで強くなれるのは華煉だけではない。
お主は時間回帰をする中できっとそのことに気づくじゃろう。
「清蘭?」
「マインドスナッチ。お主の中にいる造られしものの魂を早く自分の中で昇華せよ。お主にはその素質がある。力もある。
そして・・・・自我がしっかりとしたところで、儂に力を貸してくれんか。」
マナは微笑んだ。
「俺の力があんたの役に立つなら・・・清蘭、俺を助けてくれたあんたの頼みなら俺は力を惜しまないさ。」
◆ ◆ ◆ ◆
けわしい山で・・・・ドラゴンの少女と空を舞う。
そして、山の怪異と戦う前に・・・・この地に慣れるための練習試合をする。
ちょっと厄介な相手。
私以上に私の力を知り尽くした相手。
「よろしくお願いします。」
私はふと思いついてマナに声をかける。
「マナ、今日の練習試合手伝って。相手はね・・・」
目の前に立つのはいつも私が背を向けている相手。
私が背中をあずけられる方々・・・・
「んん・・・・ちょっと分が悪いかな。」
(それでも、力を尽くすんだろう?華煉)
「うん!」
私はそっと剣を引き抜いた。
・・・・なのに、広がる青い空
ともに宙を舞うのは、ドラゴンの少女
強い火の力
彼女には私と違った火の守りがある。
彼女と一緒はいつも楽しい。
彼女と一緒なら私は遠慮なく自分の気を放つことが出来る。
楽しい、愉快、心のままに放つ炎はまるで花火のように空を舞う。
炎の残像が空を彩る。
あぁ綺麗だ。
心からそう思う。
マナ・・・・最近、疲れているみたいだった。
マナにも見せてあげたい。
この綺麗な空を。
いつか二人一緒に宙を舞う。
そんな日が来て欲しいと、心から思った。
いつか・・・・いつの日か・・・・今日と同じぐらい澄んだ青い空を二人で・・・・。
◆ ◆ ◆ ◆
狭い紅瑪瑙石の中の空間
マナの魂が人型をとって住まう場所。
人であることを忘れないように、自我がぼやけないようにするために、ごく普通のヒトの生活空間が再現されている。
小さなテーブルと椅子
テーブルの上には古文書の山
食事をするためのテーブルとは思えない有様。
魂だけとなった今・・・食事はもはや必要ない。
他の家具もほとんどが物置と化している。
何のためにヒトとして生きる空間が用意されたのか、これでは意味不明だ。
ただ、精神が休むことを求めるのか・・・ベッドだけはきちんと使われている。
そんな日々の安らぎを与えてくれるはずのベッドの上で、マナは内側から侵食される痛みにのた打ち回っていた。
「くっ・・・・」
(俺の魂を侵食するな。俺は俺だ。)
もう何度繰り返しただろう。
自分に言い聞かせないとすぐに侵食されてしまいそうな・・・感情がないのに驚くほど貪欲な魂。
夢幻の造られしもの。
そこから生まれたマナの雫が俺を苦しめる。
(まだだ。俺にはまだやらないといけないことがある!)
意識が爆ぜる。
「ぁ・・・はぁ・・・」
ベッドの上で呼吸を乱しながらも、俺はなんとか押さえ込むことに成功した。
これも何度繰り返したことか・・・
マナの雫
それを華煉に取り込ませたくなかった。
この島を包む狂気が俺の体に染み込んで・・・・その中にいる華煉の魂を徐々に汚染するなど耐え難い。
華煉が取り込むぐらいなら、俺が取り込んだ方がはるかにましだ。
その気持ちは今も変わっていない。
だが・・・この雫は本当に取り込まなければならなかったんだろうか?
俺は・・・・
「落ちついとるかの?」
いつの間にか目を腕で覆って世界から目を背けていたらしい。
だから、気づかなかった。
俺はベッドの上で上体を起こした。
視界に映る、金色の髪、白い肌、飄々とした一見年齢不肖な男
外見は若い。
だが、その魂は年老いているのだろう。
見かけと乖離した落ち着きのある所作。
独特の言葉遣い。
旧知の聖霊
「清蘭・・・・」
清蘭がそっと俺の額に指を伸ばす。
指が俺の額に触れた瞬間・・・・俺を苦しめていた頭痛と疲労がすっと治まっていく・・・。
「ずいぶん・・・・苦しんでおるようじゃの。儂に出来ることはないか?」
俺は思わず吹き出してしまった。
「俺の痛みを一瞬で和らげておいて、この上まだ何かしてくれるなんて・・・・清蘭、本当にあんた、俺のことが好きだな」
そう。
ずっと前から気づいていた。
この精霊らしからぬ聖霊は・・・いつの間にか俺と華煉に感情移入しすぎて、どっぷりと浸かってしまっている。
俺と華煉に振り回される道に迷い込んでしまったようだ。
俺は知っている。
清蘭は一番に華煉のことを考えている。
それだけではなく・・・・華煉の幸せと利害が衝突しない限りは、俺のことも考えてくれていることに。
だから、俺は清蘭に弱いし、清蘭をすっかり身内と思っている。
俺のいった言葉に一瞬だけ顔をしかめたあと、俺を軽く小突いてくるそんな少し照れた態度。
親友というには畏れ多いところはあるけど、彼を慕うのにそれほど時間はかからなかった。
「で、今日はどうしたんだ?俺としてはこうやって話しているだけでもうれしいけど。」
華煉と清蘭以外誰もたずねてくる事のないこの場所。
華煉が火喰い鳥のナイフを掲げない限りは外もほとんど見ることは出来ない。
彼が来てくれる事が俺にとってどれだけ多くの助けになっていることか。
「ふむ・・・・お主の自我が安定したらじゃがのぉ・・・・頼みたいことがある。」
「いいよ。」
あっさりと答えたら、清蘭は固まってしまった。
「清蘭?どうかしたか?俺なら別にいいけど?頼みって何だ?」
俺が声をかけるとはっと気を取り直して、そして何故か不機嫌な顔をした。
苦虫を噛み潰したようなというのはこんな表情だろうか?
「清蘭?」
「お主・・・・・無防備すぎるぞ!内容も聞かずにそんなにほいほいと了承しおって!そんなことではいつ悪意あるものどもに狙われてもおかしくないぞ!」
「別に誰にでもこんな風に了承するわけじゃないさ。清蘭、あんたが華煉の不利になることをするわけがない。どうしても必要だから俺に頼みに来たんだろう?
それに頼みってことは俺の意思も尊重してくれるつもりなんだろう?それなら、俺が断る理由なんかないさ。それに精霊の難しい術なんか聞いたところで理解できるとは思えないからな。
・・・・・清蘭?どうした。真っ赤だぞ?」
怒っているのか?
今日は表情をくるくる変えて・・・・体調でも悪いのか?いや、それ以前に聖霊にも体調とかあるのか?
今度華煉に聞いてみるか。
俺はそんなことをのんびりと考えて、もう一度清蘭の顔を見た。
「ちょっと出直すわい!」
そういい残して顔を真っ赤にしたまま清蘭はふっと消えてしまった。
・・・・・・
「何だったんだ?」
◆ ◆ ◆ ◆
「まいった・・・」
火喰い鳥の民として育ちながら、どうしてあそこまで真っ直ぐなんじゃ?あの男は。
華煉も単純で真っ直ぐじゃから・・・類が呼んだのかのぉ。
あんな風に絶対的な信頼を寄せられては、こちらが照れる。
真っ直ぐで疑うことを知らなくて・・・・
「困った。本当に捉まったようじゃの。」
真っ直ぐで純粋なあの男と華煉とどちらも守りきらないと、儂まで精神的にダメージを受けそうじゃ。
長いこと精神体として生きてきたこの儂であっても大きな精神的ダメージなど受けたくはない。
「守りきるというのは破壊するよりも大きな力がいる。一度破滅へと向かいだしたものを、守りきるのは特にのぉ。」
守りきるには相手のことをすべて知らねばならぬ。
意を決して清蘭はもう一度マナのところへ戻った。
◆ ◆ ◆ ◆
「清蘭」
「おぬしに時間回帰を試みたい。もちろんお主がこの前飲み込んだあの魂を昇華してからじゃないとうまくいかんのでな。あの造られしものの前世などみても意味がない。お主の・・・・現世に来る前の遠い遠い昔にお主が誰だったのかを知りたい。」
時間回帰?
俺の生まれる前?
つまり・・・・
「俺と華煉のどちらの前世が最初に堕精した火喰い鳥の民の始祖であるかを知りたいという意味か?」
「前世どころか何世代も遡らねばならんじゃろうけどな。その通りじゃよ。お主と華煉、どちらが燦伽の魂でどちらがイールの魂なのかを知っておきたい。」
「それであんたがすっきりするなら別に俺はいいよ。でも知ってどうするんだ?」
知ってどうするか。
ふむ・・・確かにそうじゃのぉ。
知ったら、燦伽のほうだけを火霊に転生させ、イールの魂を転生の輪に返さないというのが本来儂のとるべき道じゃろうな。
だが、二人とも守りきると決めた今、それを知ったら儂はどうするんじゃろうな。
「ただ知りたいだけじゃよ。それに今はまだ無理なようじゃ。お主はお主を侵食している奴に先に打ち勝たねばのぉ。」
清蘭がマナの魂にそっと触れる。
それだけで魂の形がくっきりと強くなる。
「マインドスナッチ 良い名じゃの。名には力が宿る。魅惑の力を封じたようじゃが、名は封じられぬ。
お主は他者の魂を縛しても決して自分を見失うことはあるまい。生まれ持った名とその名の力がお主自身を守る。」
名前を呼ぶ。
それだけで強くなれるのは華煉だけではない。
お主は時間回帰をする中できっとそのことに気づくじゃろう。
「清蘭?」
「マインドスナッチ。お主の中にいる造られしものの魂を早く自分の中で昇華せよ。お主にはその素質がある。力もある。
そして・・・・自我がしっかりとしたところで、儂に力を貸してくれんか。」
マナは微笑んだ。
「俺の力があんたの役に立つなら・・・清蘭、俺を助けてくれたあんたの頼みなら俺は力を惜しまないさ。」
◆ ◆ ◆ ◆
けわしい山で・・・・ドラゴンの少女と空を舞う。
そして、山の怪異と戦う前に・・・・この地に慣れるための練習試合をする。
ちょっと厄介な相手。
私以上に私の力を知り尽くした相手。
「よろしくお願いします。」
私はふと思いついてマナに声をかける。
「マナ、今日の練習試合手伝って。相手はね・・・」
目の前に立つのはいつも私が背を向けている相手。
私が背中をあずけられる方々・・・・
「んん・・・・ちょっと分が悪いかな。」
(それでも、力を尽くすんだろう?華煉)
「うん!」
私はそっと剣を引き抜いた。
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