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闇と鎖と一つの焔

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  • 11/25/04:55

749

ジルがこの島に来てすでに10日過ぎた。

両親が旅行に行っている間、家の改装のために無理やり追い出されてこの島に送り込まれた。
まだ、たった9歳の少女。
誰が聞いても同情したくなるような境遇。

最初のうちこそ拗ねてもいた。
萎縮したり・・・・、仲間に遠慮もあった。
だが、元々は適応力の高い少女であったジルは、着実にこの遺跡での生活になじみ始めた。

慣れにより、本来の自分を存分に発揮できるようになって来たこと。
そして、厳しい遺跡の中の日々の生活
心身ともに鍛えられる修行のような日々

生来持っているある能力を引き出すための条件が整おうとしていた。





ある日の日記
「今日、散歩をしていたら、なんとなくうり坊に会う気がした。
 なんとなくお肉が固そうだと思った」



ある日の日記
「今日、遺跡を歩いていたら、なんとなく子猫に会う気がした。
 なんとなくお肉が小さい気がした」



ある日の日記
「今日、遺跡を歩いていたら、なんとなく変な人に会う気がした。
 香りの良い香水みたいな草を拾いそうだと思った」





日記を読めば気づいた者がいるかもしれない。
ジルはこの先で会うであろう敵とその敵から奪うアイテムを直感的に知っていた。

彼女の能力は直感力とシンクロ
その二つの能力は今まさに開花しようとしていた。

どうやらジルには少し先を行く冒険者たちの動きが見えるらしい。
もちろん少し先を行く冒険者達と同じ敵と戦うとは限らない。
シンクロして少し先にいる敵が見えたとしても、
実際にジルたちがその場を通るときに何と当たるかは直観力が決め手となる。

その直観力の当たる確率は5割程度。
だからこそ、不用意に漏らしてPTのみんなに嘘つき呼ばわりはされたくないと思った。
ジルはその能力の確度が上がるまでみんなには内緒にしておこうと決めた。





あるときジルはまたも白日夢のように、少し先のブロック、または近くのブロックにいる誰かとシンクロした。
そして・・・・・そのままジルは卒倒した。




ジルが見たもの。
それは9歳の少女にはあまりにも刺激的な内容だった。


そのままパーティメンバーに遺跡外に連れ出された。
あまりの衝撃にジルの脳はそのときのことを記憶するのを拒絶した。


だから、ジルは知らない。
自分が何を見たのかを。

心配するパーティメンバーも憶えていないものは訊きようがない。
だから、ヒントはジルがうわごとのようにつぶやいた言葉だけ。

パーティメンバーには何のことだかさっぱりわからない。
もちろんジルにもさっぱりわからない。
謎の言葉が残った。



9歳の少女の脳に残ることを拒絶された謎



「・・・・ピンクの・・・・」


一体何を彼女が見たのか・・・それはご想像にお任せします。
ただ、あまりのトラウマのために、開花しかけた彼女の能力は数日間復帰しなかったと言う。


十九人目のお題「開花」  749 ジリアン・アマーリア
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