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闇と鎖と一つの焔

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  • 11/25/04:52

886

今日もデストミー様は絶好調だ。
中にいる面々の気も知らず・・・・

今日のデストミー様のお言葉はこの発言から始まった。

『世の中にはおもしろい技があるみたいじゃな』

「はぁ?面白い技ですか?」
【技?】
「ぐぱー?」

『我が偉大になるためにもっともふさわしい技があるではないか。
ヌシら、知っておったのならなぜ黙っておった?』

「・・・恐れながら、てりぼーぅ・デストミー様」

『なんじゃ?』

「その技とはどのようなものでしょうか?」

『ヌシら、その程度のこともわからんのか?それでは我が教えてやろう』

 デストミー様は紙にさらさらと技を書き始めた。
 同じ体に棲まっているため、紙に書いてもらえばすぐに通じる。

『これじゃ』

 ・下僕となれ
 ・いろいろ貢ぎなさい
 ・美はすべてを支配する
 ・スポットライトを私に

『極めつけはこれじゃ』

 ・私に従えないというのか

『これほどに我にふさわしい技があろうか?
 ヌシ等、知っておったのならなぜに言わぬのだ?』

「あいたたたたた」
『何か痛いのか?』
【どうするべ。】
「くぽーー」

「デストミーさまの偉大さはそのような技に頼らなくとも認めさせることなどたやすいことです。
 そのような技を使用するのは技に頼らないと偉大さを表現できない未熟者の行いに過ぎません」

『そういうものか?』

「もちろんでございます。
そのような技に頼るのは、かえって偉大でもなんでもないことをひけらかすようなことにございます。
例えるなら、力なき者が力のなさを補うために魔法に頼るように。
偉大でない者が、偉大でないことを補うために、そのような技に走るのです。」

【・・・・うまい】

『うむ・・・・そうまでいうのならこれらの技はあきらめよう』


 デストミー様は肌蹴かけた着物を直しつつ考え込まれたようだ。


『では、ヌシ等に問う。我の偉大さをもっとも華麗に表現する技は?』

「・・・・・」
【・・・・・・】
「・・・・・・・くぽ」









デストミー様は先ほどから歌を歌い続けている。
その歌は・・・・・・決して旨くない・・・・・。
むしろ、騒・・・ry

別に音楽を憶えようとしているわけではない。



【なんであんなこといっちまったんだ】
「・・・・ごめん。あたしが悪かった」
「くぴー」





──デストミーさまの偉大さや華麗さを表現する方法を技に頼る必要はございません。
すでに身に備わった空気が偉大さや華麗さを十二分に引き立てておられます。
時には親しみやすさを表現することにより、デストミー様の身に纏う偉大さが強調されることになりましょう。
ですから・・・もっとも苦手とされている部分を表に出されてはいかがでしょうか?






それが歌とはおもっていなかった。
しかも・・・・・・これほどとは思っていなかった。
体を共有しているため、嫌でも耳に入ってくる。


このときほど変な魔法に巻き込まれて体を共有していることを呪ったことはなかった。

トミーの父親があんな馬鹿なことを思いつくから・・・

今すぐこの状態が解けるなら、どんな代償でも支払うのに・・・と誰もが考えたが、
今となってはデストミー様以外は魔力の欠片ももたない身。
魔法など揮えるわけもなく、悲痛な願いに答える神も悪魔もいなかったようだ。




その苦痛の時間はデストミー様が食事をとるために歌をやめるまで続いたのだった。

二十一人目のお題「魔法」  886 猫極堂ガトー
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