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18thday
シャルロット。
カーナルドの妻だと名乗ったアンデッド。
この遺跡の中にカーナルドという名も亡き英雄の霊がいるのだろうか?
何かを無性に欲していたあのアンデッドを燃やすべく、俺は彼女に炎上を付与した。
「ロースト!!」
俺の翼から炎が燃え移る。
彼女の体はたちまち炎上し始めた。
「カーナルド・・・カーナルド・・・迎えに来て・・・くれる?」
哀しい声。
哀しい彼女。
だが・・・・
「もう少し相手を選んで見てはどうだ?」
俺は冷たく言い放った。
同情してはいけない。
どれほど哀れな者であっても、あれは俺に敵意を放ってきた相手。
そして俺の仲間に傷を負わせようとした相手。
ちょっとした心の隙が敗北につながることもある。
あの哀れな者の最後の台詞。
胸が痛まないと言えば嘘になる。
それでも・・・・
俺はその場に落ちていた孔雀石を拾い上げながら、小声で祈りをつぶやいた。
それが最後の手向け。
これ以上 敵に心を向けるのはもうやめよう。
俺には・・・守らないといけない者がある。
そっとその場に背を向ける。
俺は次の合流地点を目指して山道を歩み始めた。
そんな俺を・・・・・・顕現した華煉はじっと見つめていた。
山道を少し進んだ頃、
「マナ」
華煉が俺に話しかけてきた。
今までは、華煉が俺に何かを伝えたい時は、俺を強制的に眠らせて華煉の空間で話をするしか方法がなかった。
アップリフトを教えてくれた時もそうだった。
だが、顕現してからはいつでも好きな時に俺と話が出来る。
「どうした?華煉」
華煉は俺の左肩にいつも座っている。
剣を振るうときなど少し気なったが、どうやら俺がどんな動きをしても俺の肩からは離れないらしい。
小さな小さなピクシィサイズになっているのは、
顕現するときの力の消耗を最低限にするためと、
目立たないようにするためだという。
こんな物が肩にあって気づかないほうがおかしいと言うものだが・・・
少なくとも邪心、悪意を持つものからは見えないらしい。
「どうした?」
「マナは・・・・・」
「ん??」
「・・ううん・・なんでもない。」
そういうと華煉はうつむいてしまった。
小さな華煉の髪をそっと指で撫でてみる。
だが、出来るのはそこまでだ。
サイズが違うと真正面から問い詰めることも出来ない。
華煉の様子は少し前からずっとおかしい。
華煉が一度目の顕現を果たしてからだ。
急に声が届くようになったり、
いつもの空間から急にいなくなったり、
島から離れてくれと言ったり、
あげく、こんな風にピクシィのように顕現したり・・・
何かを隠している。
だが、一体何を???
何かある。そしてきっと俺はその何かを知っておかなければならない。
そんな気がする。
だから・・・・俺はシャルロットを倒した後の山道を一気に飛んで、みんなが来るまでの間、居眠りをすることにした。
俺も言いたいことがいっぱいある。
遺跡の屋根の下に入り込み、華煉にもらった護符に火をつける。
あたりが華煉の空間に近づいたためか、華煉の気配がよりはっきりしてきたが、まだ足りない。
俺はそのまま眠りにつく。
いつもの華煉に会うために。
「話してくれ。頼む」
「・・・放して。お願い」
二人がほぼ同時にお願いした。
ハ・ナ・シ・テ
俺は話してといい・・・華煉は放してといった。
今の華煉は俺の腕の中だ。
この空間に来て最初に俺がやったこと。
華煉の腕をつかんで強引に引き寄せて抱きしめた。
そうしないと、またこの空間から華煉がどこかに消えてしまうかもしれないから。
壊れない程度に。
でも逃げられない程度に。
強く強く抱きしめて・・・・
そして二人同時に願った。
ハ・ナ・シ・テ
と。
腕の中で華煉が凍りつくのがわかる。
俺が何を言っているのか理解したのだろう。
「話してくれないと放さない。」
「・・・・・・・お願い。放して」
俺は腕に一層力を篭めた。
華煉の力が抜ける。
泣いている。
泣かせるつもりはなかった。
泣かせたくなかった。
だが・・・泣かれても放せない。
俺は話を聞かないといけないから。
「・・・・この島は危険なの・・・・」
しばらく泣いて、泣いて・・・・
そして、泣きながら華煉は話しはじめた。
「・・・ナ、マナ、 お願い。私を見て!」
華煉が何かを訴えている。
だが、俺の耳には聞こえていても、俺の心に意味のある言葉として伝わらない。
華煉が最近おかしかった理由。
俺があの時ナイフを抜いたから・・・
華煉はこの島につかまった。
華煉は島の呪縛を解こうとしたのに、
俺があの時この島の火を呼んだ。
俺が何気なくしたこと。
それが華煉を苦しめていた。
その事実が今度は俺を打ちのめした。
「マナ!」
気がつくと・・・・俺の腕はだらんと両脇に下がっていた。
華煉はとっくに開放されている。
呆然とする俺を・・・・・逆に華煉が抱きしめて支えていてくれた。
「・・・・れは・・・・・・・・・・・」
「マナ・・・」
ようやく華煉の方を見て声を出した俺
華煉がほっとした表情になる。
「俺は・・・・・・・・どうすればいい?」
華煉は否定するかのように顔を左右に振る。
「マナは何もしなくていい。ただいつものようにしていてくれれば。」
「だけど・・・俺のせいなんだろう?」
俺のせいで華煉は・・・華煉と俺は不利な状況に追い込まれた。
俺が不利な状況に追い込まれることは、華煉の負担が増えることを意味する。
俺を守るための華煉の顕現。
あれだって・・・・力をひどく消耗するはずだ。
俺の考えが読めたのか、華煉が苦笑して言葉を紡ぐ。
「マナの身体と私の空間はつながっているから、
マナの身体の上に顕現するのはそんなに難しいことではないの。
マナの身体から離れて顕現するのは難しいけどね。」
「でも・・」
さらに何かを言おうとする俺の唇にそっと華煉が指を寄せる。
「マナ。いいの。私はいつも貴方と共にある。これからも貴方を守る。だからお願い・・・」
私の名前を呼んで。
貴方が呼んでくれれば、私は強くなれるから。
心にダイレクトに伝わってくる想い。
深く深くしみこむ心。
これは・・・・祈りだ。
「優しいマナ。アンデッドにまで心を動かされる貴方の優しさは、いつか取り返しのつかない事態を引き起こすかもしれない。それでも・・・・優しい貴方を守るから」
だから、お願い。名前を呼んで。貴方が私を想うことが私の力になるから・・・
「華煉・・」
かすれるような声で俺が呼びかけると・・・・
華煉はとてもうれしそうに笑った。
その笑顔がとてもまぶしかったから・・・俺は少し泣きたくなった。
名前を呼んで。私の名前を。私は貴方の一生を守り抜くから・・・・
カーナルドの妻だと名乗ったアンデッド。
この遺跡の中にカーナルドという名も亡き英雄の霊がいるのだろうか?
何かを無性に欲していたあのアンデッドを燃やすべく、俺は彼女に炎上を付与した。
「ロースト!!」
俺の翼から炎が燃え移る。
彼女の体はたちまち炎上し始めた。
「カーナルド・・・カーナルド・・・迎えに来て・・・くれる?」
哀しい声。
哀しい彼女。
だが・・・・
「もう少し相手を選んで見てはどうだ?」
俺は冷たく言い放った。
同情してはいけない。
どれほど哀れな者であっても、あれは俺に敵意を放ってきた相手。
そして俺の仲間に傷を負わせようとした相手。
ちょっとした心の隙が敗北につながることもある。
あの哀れな者の最後の台詞。
胸が痛まないと言えば嘘になる。
それでも・・・・
俺はその場に落ちていた孔雀石を拾い上げながら、小声で祈りをつぶやいた。
それが最後の手向け。
これ以上 敵に心を向けるのはもうやめよう。
俺には・・・守らないといけない者がある。
そっとその場に背を向ける。
俺は次の合流地点を目指して山道を歩み始めた。
そんな俺を・・・・・・顕現した華煉はじっと見つめていた。
山道を少し進んだ頃、
「マナ」
華煉が俺に話しかけてきた。
今までは、華煉が俺に何かを伝えたい時は、俺を強制的に眠らせて華煉の空間で話をするしか方法がなかった。
アップリフトを教えてくれた時もそうだった。
だが、顕現してからはいつでも好きな時に俺と話が出来る。
「どうした?華煉」
華煉は俺の左肩にいつも座っている。
剣を振るうときなど少し気なったが、どうやら俺がどんな動きをしても俺の肩からは離れないらしい。
小さな小さなピクシィサイズになっているのは、
顕現するときの力の消耗を最低限にするためと、
目立たないようにするためだという。
こんな物が肩にあって気づかないほうがおかしいと言うものだが・・・
少なくとも邪心、悪意を持つものからは見えないらしい。
「どうした?」
「マナは・・・・・」
「ん??」
「・・ううん・・なんでもない。」
そういうと華煉はうつむいてしまった。
小さな華煉の髪をそっと指で撫でてみる。
だが、出来るのはそこまでだ。
サイズが違うと真正面から問い詰めることも出来ない。
華煉の様子は少し前からずっとおかしい。
華煉が一度目の顕現を果たしてからだ。
急に声が届くようになったり、
いつもの空間から急にいなくなったり、
島から離れてくれと言ったり、
あげく、こんな風にピクシィのように顕現したり・・・
何かを隠している。
だが、一体何を???
何かある。そしてきっと俺はその何かを知っておかなければならない。
そんな気がする。
だから・・・・俺はシャルロットを倒した後の山道を一気に飛んで、みんなが来るまでの間、居眠りをすることにした。
俺も言いたいことがいっぱいある。
遺跡の屋根の下に入り込み、華煉にもらった護符に火をつける。
あたりが華煉の空間に近づいたためか、華煉の気配がよりはっきりしてきたが、まだ足りない。
俺はそのまま眠りにつく。
いつもの華煉に会うために。
◆ ◆ ◆
「話してくれ。頼む」
「・・・放して。お願い」
二人がほぼ同時にお願いした。
ハ・ナ・シ・テ
俺は話してといい・・・華煉は放してといった。
今の華煉は俺の腕の中だ。
この空間に来て最初に俺がやったこと。
華煉の腕をつかんで強引に引き寄せて抱きしめた。
そうしないと、またこの空間から華煉がどこかに消えてしまうかもしれないから。
壊れない程度に。
でも逃げられない程度に。
強く強く抱きしめて・・・・
そして二人同時に願った。
ハ・ナ・シ・テ
と。
腕の中で華煉が凍りつくのがわかる。
俺が何を言っているのか理解したのだろう。
「話してくれないと放さない。」
「・・・・・・・お願い。放して」
俺は腕に一層力を篭めた。
華煉の力が抜ける。
泣いている。
泣かせるつもりはなかった。
泣かせたくなかった。
だが・・・泣かれても放せない。
俺は話を聞かないといけないから。
「・・・・この島は危険なの・・・・」
しばらく泣いて、泣いて・・・・
そして、泣きながら華煉は話しはじめた。
◆ ◆ ◆
「・・・ナ、マナ、 お願い。私を見て!」
華煉が何かを訴えている。
だが、俺の耳には聞こえていても、俺の心に意味のある言葉として伝わらない。
華煉が最近おかしかった理由。
俺があの時ナイフを抜いたから・・・
華煉はこの島につかまった。
華煉は島の呪縛を解こうとしたのに、
俺があの時この島の火を呼んだ。
俺が何気なくしたこと。
それが華煉を苦しめていた。
その事実が今度は俺を打ちのめした。
「マナ!」
気がつくと・・・・俺の腕はだらんと両脇に下がっていた。
華煉はとっくに開放されている。
呆然とする俺を・・・・・逆に華煉が抱きしめて支えていてくれた。
「・・・・れは・・・・・・・・・・・」
「マナ・・・」
ようやく華煉の方を見て声を出した俺
華煉がほっとした表情になる。
「俺は・・・・・・・・どうすればいい?」
華煉は否定するかのように顔を左右に振る。
「マナは何もしなくていい。ただいつものようにしていてくれれば。」
「だけど・・・俺のせいなんだろう?」
俺のせいで華煉は・・・華煉と俺は不利な状況に追い込まれた。
俺が不利な状況に追い込まれることは、華煉の負担が増えることを意味する。
俺を守るための華煉の顕現。
あれだって・・・・力をひどく消耗するはずだ。
俺の考えが読めたのか、華煉が苦笑して言葉を紡ぐ。
「マナの身体と私の空間はつながっているから、
マナの身体の上に顕現するのはそんなに難しいことではないの。
マナの身体から離れて顕現するのは難しいけどね。」
「でも・・」
さらに何かを言おうとする俺の唇にそっと華煉が指を寄せる。
「マナ。いいの。私はいつも貴方と共にある。これからも貴方を守る。だからお願い・・・」
私の名前を呼んで。
貴方が呼んでくれれば、私は強くなれるから。
心にダイレクトに伝わってくる想い。
深く深くしみこむ心。
これは・・・・祈りだ。
「優しいマナ。アンデッドにまで心を動かされる貴方の優しさは、いつか取り返しのつかない事態を引き起こすかもしれない。それでも・・・・優しい貴方を守るから」
だから、お願い。名前を呼んで。貴方が私を想うことが私の力になるから・・・
「華煉・・」
かすれるような声で俺が呼びかけると・・・・
華煉はとてもうれしそうに笑った。
その笑顔がとてもまぶしかったから・・・俺は少し泣きたくなった。
名前を呼んで。私の名前を。私は貴方の一生を守り抜くから・・・・
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