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闇と鎖と一つの焔

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  • 04/26/20:09

32thday

日記の前に言い訳。
最初はもっと狂気に満ちてました。
が、ちょっと展開早すぎだろ・・・・と思って狂気をとったら、PLが発狂しそうな文章になってました。
夜中の2時ぐらいにぼけっとして書くとろくなことがない。

ってか自分で自分の結果直視できないってどういうことだ。

(要するに・・・や・り・す・ぎ・た)

このあとに文章コミュイベントで落差ありまくりの文書書くんだぜ。

文章コミュイベント 『バレンタイン大作戦~三倍返しは忘れずに~』

第1弾 チョコくれアピール
 第33回更新 2月第1週(2月4日の更新時)

・・・・・・・・え?この日記の後にチョコくれアピールですか。そうですか。
さて、どうひねり出そうかな。
やりすぎるといろいろ大変だね☆




「これが・・・・水の宝玉」

ティアドロップ型の小さな石。
木に生っている時には丸い形に見えていたのに。俺の手の中に落ちてきたこの宝玉は涙の形。
俺はその石をどうするか悩んだ。

「華煉」

俺の肩の上に華煉が顕現する。

「なぁに?マナ」
「この宝玉、俺が胸につけても大丈夫か?」

途端に華煉が顔をしかめた。
その顔を見て俺は思わず笑った。
だよな。
凍結の吹き矢ですらあれだけ嫌がっていたからな。

「わかった。この石は荷物袋の奥にしまう。それでいいか?」
「うん!」

華煉はにっこり笑った。その笑顔が妙に眩しくて・・・

「華煉?お前・・・・・」
「なぁに?」
「・・・・・・・・いや、なんでもない。」

俺がおかしくなったんだろうか。
確かに華煉の外見は俺の好みのタイプで・・・
だけど、火喰い鳥の民と守護精霊。
種族も全く違うからいままで意識したことすらなかった。

綺麗というなら、ミーティアやジゼルやルイのほうが綺麗だ。
かわいいというならハーカやぴぃのほうがかわいい。
一緒に居て楽しいというなら一夜や舞華だ。
そして、俺が愛さなければならないのは許婚のフロリセレスティだけだ。

俺の大事なフロリセレスティ・・・天上の花の名を持つ婚約者殿。
「心を捕らえる者」という名をもらった俺が生まれつき魅惑の力を受けたように、
「天上の花」の名を受けた彼女もすばらしい容姿と人を惹きつける力を持っていて・・
その力は女児の最初の成人儀礼を迎える前だというのに遺憾なく発揮されていた。

火喰い鳥の民の成長は早い。
フロリセレスティは俺が里を出る時には、今のハーカと同じぐらいの背丈があっただろうか?
小柄で体力のなさそうな・・・今の人型のハーカと。

かわいく聡く美しい俺の婚約者殿。
その笑顔と声で多くの人を魅了する。
彼女を妻に迎える日を・・・俺はどれだけ心待ちにしていることか。

婚約者のことを考えて、そして華煉をみる。
そう。
華煉は俺のパートナーであって、恋愛の対象じゃない。

だから・・・・さっき華煉を見て眩しく感じたのも、綺麗だと思ったのもきっと恋愛感情じゃない。
さっき言いかけてやめた言葉

きっと・・・・気の迷いだ。
水の宝玉を胸の刺青のそばにおいてもいいかと聞かれて顔をしかめてふくれっ面をした華煉
拗ねた顔が新鮮だっただけだ。
きっとそう。

声にならなかったあの一言が、華煉に伝わっていないことを祈ろう。



『華煉・・・・・お前、そんなに綺麗だったっけ?』




◇          ◇          ◇




そして、水の宝玉戦を終えた夜・・・
眠りについた俺は暗闇の中にいた。
眠っている俺の無防備な体は華煉の結界で守られ、
俺の無防備な精神は華煉が自分の空間に導いてすぐに守護する。
だから・・・・俺が暗闇の中にいるというのは異常なのだ。
この遺跡に来て少し経ったときにもこんなことがあった。
蜘蛛の魑魅魍魎。
俺の足を銜え、食む喜びに打ち震えていたあのおぞましい魍魎・・・・
思い出すだけでぞっとする。


また、俺は何ものかの空間に拉致されたのだろうか?
胸の刺青に手をあて・・・・そして呼ぼうとした時に目の前に焔が出現する。
俺はほっとした。
何もない場所にこれだけの焔を呼べるのは焔霊だけ。
焔霊が俺に危害を加えることはない。
それにこの島にいて俺の目の前に焔を放つ焔霊は一人しかいない。


単に俺を迎えに来るのが遅くなったのだろう。
俺は刺青に当てていた手をそのまま焔に向かって伸ばす。


「今日は珍しいな。華・・・」


言いかけた言葉をすべて口にする前に声が封じられる。
そして何かが俺にささやきかけてくる。
これは・・・・昨日の残留思念と同じ物?

なんだ。俺に一体何を伝えたいんだ。
何かの気配が俺に語りかける。
だがその思いは俺には届かない。
やがて目の前の焔が小さくなって消え、俺を包み込んでいた思念も消えた。



「今のは・・・・なんだったんだ」




◇          ◇          ◇



焔が消えると俺は何かに導かれるかのように目を瞑り、目を開けた時にはもういつもの場所だった。
ここは華煉の空間。

「華煉?」

呼びかける。
応えがない。

「華煉?」

華煉は布を織っている。
少し前から織っていた布を・・・。
俺は背後から近寄り華煉の肩を叩いた。

「やけに熱心だな、華煉。何を作っているんだ?」


華煉は驚いたような顔をして振り返った。
そして真っ赤になると布を背中に隠して、

「ダメ。まだ見ちゃダメ!内緒なんだから!」

といった。ちょっとふくれっ面をして・・・・

困ったことにその様子があまりにもかわいらしくて何も言えなくなってしまう。
口元に手を当てて思わずこぼれる笑みを隠しながら

「華煉、俺よりもその布のほうが大事?」

と聞いてみる。

「マナのほうが大事に決まってるでしょ。マ~ナ。大好き。」

そういって抱きついてくるから、俺は何も言えなくなってしまった。
やわらかい緩いウェーブのかかった髪を撫でる。
ここに誰かもう一人いたら、きっと俺の顔がニヤけて崩れまくっているのを見て幻滅したに違いない。





『華煉・・・・・お前、そんなにかわいかったっけ?』





◇          ◇          ◇



マナが髪を撫でてくれる。
大好きなマナが抱きしめてくれて、頭を撫でてくれる。
いつもならこれだけで落ち着くのに・・・・・今はとても落ち着けない。

私は・・・・・気づいていなかった。
マナが眠ったこと。
この空間に来ていること。
・・・マナが眠ってからこの空間に来て声をかけるまで、まったくマナの行動に気づいていなかった。

少し前までは特に何もしなくてもマナが何をしているかすべてわかっていた。
マナの体にこの空間を接続してからは特にそう。



なのに・・・・なのに・・・・自分は今、まったく気づかなかった。



自分の力が弱っている。
前から感じてはいたけど、これほどとは。
こんなことで、私はマナを守れる?
守護精霊と言える?


そう考えて苦笑する。
私は滅びを選んだも同然なのに。
最後まで一緒に居て欲しいと、選んだ道が滅びの道であったとしても共に居てほしいと・・・
そう願っていたのに。
私がマナを滅びに導くも同然なのに、まだマナを守りたいと思っている。
なんという矛盾。


マナの手は暖かい。
マナの腕は温かい。
抱きしめてくれる胸も腕もその微笑みもすべて愛しい。


マナ・・・マナ・・・・一緒に居たい。
一緒にいると破滅しかないのに。

マナを守りたい。
マナと一緒に居たい。
決めたはずの心が壊れそう。


「マナ・・・・・大好き・・・・・」


涙が出るなら泣きたかった。
マナ・・・・マナ・・・・

「・・・華煉」

掠れる声も髪を撫でる指もすべてが大好き。
マナ・・・




◇          ◇          ◇




そして、俺は目覚めた。
華煉の様子がおかしい。
あれは・・・・俺に異常があったことに気づいていない。


何かが狂っている。
俺はそのときはじめて気づきはじめていた。



あのときもっと深く考えていれば・・・
あとですべてを振り返った俺は何度あのときの自分を責めただろう。


だが、その日の俺はそれを些細なこととして処理してしまった。
華煉にだって調子の悪い日もあるだろうから・・・・と。
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