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闇と鎖と一つの焔

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  • 10/18/20:17

35th day Emergence

湖のほとりの小さな小屋

少し前にここから華煉とマナは灯明祭を眺めていた。

そして、焔を囲んで二人だけで灯明祭をして神に祈りを奉げた。

だが・・・・・あの頃はこんな日が来ることを予想していなかった。



あの小さな小屋の目の前で、あの時とは比べものにならない焔が燃え上がっている。

遺跡内で魔法陣を踏んでそのままこの小屋まで焔は飛んできた。

マナの体を燃やし続ける焔。



闇の翼の面々が心配そうに見つめている。

「あつっ!」

焔がまた勢いを増した。

舞華と一夜が慌てて跳び退る。

ベアに飛び火した炎をシクが慌ててかき消す。



無言でそれを見ていた常闇の召喚士は魔石を封じた杖を掲げる。

サモン・ミニドラゴン!!

召喚されたミニドラゴンが壁となって炎をさえぎる。

あたりに炎が散って炎上した気がするが、この業火の中ではたいしたことではない。

ドラゴンの固い皮膚が炎を閉ざす壁となる。

シヴェルは呼び出したドラゴンの頭を撫でながら、また燃え上がる炎を見つめていた。



その中にあって、たった一人、炎をなんとも思わない者。

ハーカが焔を眺めていた。

「マナ、動いた?」

ぴくっ

マナの腕が確かに少し動いた。

マナのまぶたがぴく、ぴくっと動く。

腕が少し上がる。

上体を起こす。

だが・・・・・・何かが違う。

「・・・は・・・・・はぁ・・・・・ふっ・・・・・」

苦しげな声はマナより少し高い声

顔が上を向く。

・・・・パサッ・・・

たなびいた長い髪

起こされた上体は肩が細く・・・・丸みを帯びて・・・・


「・・・あ・・・・ぐっ・・・けほっ」

少し俯いて苦しげに咳き込むたびに細い肩が、長い髪が揺れる。

腕に長い髪がかかる。

激しく燃える焔の中。

苦しげにしているあれは・・・・誰?



「あぁ・・・・あ・・・・・あ・・・はぁ・・・・はふ・・・・」


翼は変わらない。

燃えるような美しい翼。

焔に映える茶色い肌も変わらない。

だけど・・・・・あぁ・・・・・だけど・・・・・あれは・・・・・あれはマナじゃない。


「あ・・・・あああ・・・・くっ・・・あああああ」


焔が舞散る。

翼が広がり、炎の中にその身が浮かぶ。

マナの服は跡形も残っていない。

一糸纏わぬその姿。

マナの気配も何一つ残っていない。


「あ・・・あああ・・・・はぁ・・・・・あ・・・・マ・・・・ナ・・?」


固唾を呑んで皆が見守る中・・・・かすかに女性の声が響いた。

燃えさかる炎は・・・・・次第に女性の姿を形作ろうとしていた。

karen9.jpg


◆                   ◆                   ◆



ここは・・・・どこだ・・・・俺は・・・・そうだ・・・・華煉・・・・・華煉が俺を・・・・


「ほっほっほ。気づいたのかの?」


誰だ・・・・あんたは・・・・・いや・・・・おれはあんたの気配を知っている・・・・


「そうじゃろうのぉ。儂はお主に火喰い鳥の里へ帰れと警告したものじゃよ。儂は清蘭という。」


清蘭?


「そうじゃ。儂も精霊じゃよ、火喰い鳥の。・・・・さて、お主は何がどうなったのか全くわからぬのじゃろうな」


あんた・・・・・知っているのか?


「聞かせてやろうの。お主に華煉のことを。そして儂の知っておるお主のことをのぉ。
・・・・じゃが・・・・その前にのぉ・・・お主に頼みがある。」





「これからお主に代わって華煉がこの島で宝玉を集めるようじゃ。お主を取り戻すためにな。」


華煉が?俺を取り戻す?


「そうよ。あれはどうすることもできない理由でお主を殺さねばならなくなった。じゃが・・・・元々力が衰えておったからの。お主の体を昇華しきれず・・・お主の体に受肉して火喰い鳥の民に成り果ておった。」


華煉が?火喰い鳥の民に?


「そうよ。火喰い鳥の民というても、あれの体はお主の体、魂は華煉の魂じゃ。華煉がそのまま堕精したわけではないでな。
体と魂の形があっておらんから、あれを操るのは難しかろうて。じゃから、守護精霊がおらんでも、それほど危険はないと儂は思うよ。
じゃがのぉ・・・・・それならそれで、今のうちに火喰い鳥の里に素直に帰れば良いものを、あれはお主を取り戻すことを考えておる。
華煉は・・・・宝玉を集めるつもりじゃよ。お主の体にお主の魂を返すためにの。」


すまん・・・・もうちょっとわかりやすく話してくれないか?俺にはよくわからんのだが・・・


「うむ・・・簡単にいうてしまうと、今のお主は魂だけの存在よ。華煉がお主を殺したのじゃが、何を思ったのか、お主の魂を火喰い鳥のナイフに封じよった。これではお主は輪廻の輪に還れん。このままでは永遠にナイフに封じられたままじゃ。お主を輪廻の輪に返すにはお主の魂をこのナイフごと焼き尽くさねばならん。
じゃが、封じ込められた魂が輪廻の輪に還らないということは肉体が無事ならばお主を生き返らせることも可能といえば可能じゃ」


そんなことができるのか?


「火喰い鳥の里に帰ればの。そうすれば簡単に出来る。ただし、お主の体を維持するにしても、魂のない器は簡単に崩れ去る。何かしらの魂を入れてやらねばならん。
・・・・・・今ここでお主の魂をお主の体に戻すのは危険すぎる。
お主、金を奪われよったの。あの金にはお主の気配がどっぷりと染み込んだままじゃ。あの金がこの先誰の手に渡るかわからん以上、お主の体にお主の魂が入っておれば、あの金を媒体にして、魂ごと、体ごと、お主が侵食される恐れがある。
じゃからの・・・お主の体と魂を燃やし尽くして輪廻の輪に返すか、お主の体に別の魂を入れねばならなかった。
儂は燃やし尽くすように華煉に言うたのじゃがのぉ・・・・。華煉はお主を消したくなかったようじゃ。
今、お主の器に入っておるのは華煉の魂よ。
もしも火喰い鳥の里に戻ってお主の体にお主の魂を戻したら・・・・今度は華煉の魂が行き先をなくす。
あれはもう精霊としての力を失ってしもうたからのぉ。
つまり・・・お主か華煉かどちらか一人だけ生きることが出来る。残る一人は輪廻の輪に戻れずそのまま魂が消滅してしまうかもしれん・・・・」


・・・・つまり、俺が生き返れば、華煉が消滅するんだな?


「そうじゃ」


・・・・・そうか・・・・それなら・・・・俺はもう戻れなくていい。


「お主?」


・・・・もういい。俺は永遠にこのナイフの中で封じ込められてもいい。そうすれば華煉は輪廻の輪に戻れるんだな?


「・・・・」


・・・・俺の大事な守護精霊・・・・あいつがヒトに・・・火喰い鳥の民になってしまったのはきっと俺のせいなんだろう?前に華煉に聞いたことがある。華煉が結界を修復している最中に俺がしてしまったあることが切っ掛けで、とんでもなく面倒な事態になったと。それさえなければ、華煉は俺を自分の空間に招いて、俺を危機から救えたんだろう?俺を殺さなくても平気で・・・華煉も精霊のままでいられたんだろう?


「・・・ふむ・・そうかもしれんの。」


ならもういいんだ。
可哀相な華煉。俺を殺さないといけなかったなんて・・・守護契約に縛られてさぞ苦しかっただろう。
俺なんかの守護精霊になったばかりに、精霊からヒトに身を崩して・・・・そのうえまだ俺のために・・・俺を生かすために自分は消滅しようとしているのか?
冗談じゃない。
伝えてくれ。華煉に。もういいって。火喰い鳥の里に帰って・・・そして普通の火喰い鳥の民として守護精霊をつけて生きろって。


「・・・・そういわれて素直にいうことを聞く様な娘だとおもうのか?」


・・・・ありえないな。華煉がおとなしく言うことを聞くなんて。


「あの娘はこの島の宝玉にすべてを賭けるつもりらしい。何でも望みが叶うのならば自分とお主の両方が生きる道を・・・・とな。」


馬鹿なことを。華煉はヒトとして戦ったことなどないじゃないか。
宝玉の守護者はいずれも強敵だぞ。華煉に出来るはずがない。


「じゃが、あの娘はやるつもりなんじゃよ。勝手なようじゃが・・・お主の知り合いにあの娘のことを頼んでくれぬか?儂が少しだけ力を分けてやろう。お主の声をお主の知り合いに届けてやろう・・・だから・・・」


あの強情娘!馬鹿娘!
華煉・・・・本当にお前は・・・・馬鹿だ。
そういっても、あいつは笑ってこういうんだろうな。


「マナ。一緒にいようよ。一緒にいれればそれだけでいいの。それが叶うなら・・・わたし・・なんでもする」



俺は清蘭の頼みを受けることにした。
華煉・・・お前がこの島で少しでも楽できるように・・・。
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