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56th day
マナはあれからずっと目覚めない。
一度は闇を跳ね除けたのに、そのまま目を閉じて眠ったままだ。
目覚めないまま、髪は一房ずつ闇の色をうつし、固く閉じられた目から時々血の涙が流れ落ちている。
ときどき寝返りをうった拍子に翼を表に出すこともある。
美しかった焔の色の翼・・・・・羽が少しずつ闇の色に染まっている。
あれから、ずっと清蘭様がそばについている。
闇に侵食されているマナに聖霊力を与え続けている。
少しはましなのだという。
確実に闇が進んでいるけど、それでも何もしないよりは遥かにましなのだと。
あの日、清蘭様にすべてを聞いた。
前世からのマナと私のこと。
マナが時間回帰をしたこと。
存在があやふやになった時にタイミング悪く私がいろいろと仕出かしたこと。
マナの心の中で負の感情から闇の種子が生まれたこと。
それを清蘭様が取り除いたこと。
取り除いたから、マナに闇はなかった。
私がマナに会うまでは。
私がマナを拒絶した。
何かが違うと感じてマナが変容しはじめて・・・清蘭様も驚いたと言っていた。
あんな変容ははじめてだと。
それでも、私がマナを呼んだら、マナは闇を追い出して私のそばで眠りについた。
闇はもうないはずで、私はマナを抱えながら清蘭様の話を聞いた。
そして、話が終わってマナの姿を見たとき、マナの髪が一房闇の色に染まっているのに気がついた。
清蘭様ですら見た事のない変容、それは決して終わっていなかった。
今も闇の侵食は続いている。
そんなにマナをおいつめたつもりはなかった。
清蘭様も闇の種子は取り除いたし、それほど深い闇は見えなかったと言っていた。
だけど、今・・・清蘭様の予想を超える勢いでマナの魂は闇に侵食されている。
私の行動以外にも何か原因となるものがあると清蘭様は言っていた。
不思議なことに闇の種子はないらしい。
芽吹いてもいない。
いっそ、種子を形作ってくれれば排除できるのに、今はマナの魂を緩やかに染めていくだけ。
マナの魂ごと排除しなければ闇は消せない。
緋魅もやってきた。
マナが眠ってから私のところに頻繁にやってくる。
闇が育って目覚める前に、あの魂を消滅させてしまえと。
そうすれば長く続く凄惨な因縁にけりがつくからと。
幸せになりなさいと・・・・例え焔霊にもどれなくても火喰い鳥の民としてでもいいから幸せになりなさいと。
切り捨てられるはずなどないのに。
ねぇ・・・・・マナ
過去で何を見たの?
目覚めて、私に教えてくれないの?ねぇ、マナ。
◆ ◆ ◆ ◆
波の音
聞こえる
呼んでいる
「眞那」
カレン?どうしたんだ。
花冠??
前にも話しただろう?
焔霊の俺が花に触れると花はたちまちしおれてしまうと。
その花冠はお前が・・・こら・・・カレン!だめだ!
だめだと・・・・
ほら、いっただろう。
これでは花がかわいそうだ。
え?
カレン
カレン、泣くな。
頼むから泣き止んでくれ。
頼むよ。
そんなに泣かないで。
いや、怒ってない。
怒ってないから。
本当だって。
嫌ったりしない。
嫌いになんてなれるわけないだろう。
お願いだから笑って。
あぁ、花は確かに可哀相だったけど、カレンに泣かれたら俺だって可哀相だ。
ん?
ちょっとまて。
何笑ってるんだ?
可愛いってのは誉め言葉になってないぞ。
笑うな。
笑うなって、カレン。
いや、それは・・・泣かれるよりはいいけど。
お前・・本当に・・・
いや、なんでもない。
なんでもないって。
・・・そんなに聞きたいのか?
いや、やっぱり、言えない。
内緒だ。
こんなこと言えるか。
お前本当に真っ直ぐで、我がままで・・・すぐ泣くし、よく人のこと馬鹿にするし、
本当にタチが悪いけど・・・・
だけど、お前が一番大事だよ。
いつまでも、二人こうしていられたらいいな。カレン。
カレンと呼ばれる火喰い鳥の少女
眞那と呼ばれる焔霊の青年
昔、昔、遠い過去・・・・青年は泣きながら愛する少女の体に火を放った。
長い長い時が過ぎ、マインドスナッチという青年が時間回帰をして彼らに出会う。
凄惨な過去の中でもあまりにも重たい二人の悲劇。
それは時間回帰の旅をするマインドスナッチという青年の記憶に残すことを拒絶される。
青年は眞那と呼ばれる焔霊がカレンと呼ばれた少女に火を放ったことだけを記憶した。
だが、二人の在り方は青年の魂を深く傷つけた。
記憶がないままつけられた傷は魂に深く深く刻み込まれ、
やがて、その魂を揺るがすほどに・・・・・
その魂を闇につき落とすほどに・・・・。
(過去編に突入します。しばらくマナは眠ってます)
一度は闇を跳ね除けたのに、そのまま目を閉じて眠ったままだ。
目覚めないまま、髪は一房ずつ闇の色をうつし、固く閉じられた目から時々血の涙が流れ落ちている。
ときどき寝返りをうった拍子に翼を表に出すこともある。
美しかった焔の色の翼・・・・・羽が少しずつ闇の色に染まっている。
あれから、ずっと清蘭様がそばについている。
闇に侵食されているマナに聖霊力を与え続けている。
少しはましなのだという。
確実に闇が進んでいるけど、それでも何もしないよりは遥かにましなのだと。
あの日、清蘭様にすべてを聞いた。
前世からのマナと私のこと。
マナが時間回帰をしたこと。
存在があやふやになった時にタイミング悪く私がいろいろと仕出かしたこと。
マナの心の中で負の感情から闇の種子が生まれたこと。
それを清蘭様が取り除いたこと。
取り除いたから、マナに闇はなかった。
私がマナに会うまでは。
私がマナを拒絶した。
何かが違うと感じてマナが変容しはじめて・・・清蘭様も驚いたと言っていた。
あんな変容ははじめてだと。
それでも、私がマナを呼んだら、マナは闇を追い出して私のそばで眠りについた。
闇はもうないはずで、私はマナを抱えながら清蘭様の話を聞いた。
そして、話が終わってマナの姿を見たとき、マナの髪が一房闇の色に染まっているのに気がついた。
清蘭様ですら見た事のない変容、それは決して終わっていなかった。
今も闇の侵食は続いている。
そんなにマナをおいつめたつもりはなかった。
清蘭様も闇の種子は取り除いたし、それほど深い闇は見えなかったと言っていた。
だけど、今・・・清蘭様の予想を超える勢いでマナの魂は闇に侵食されている。
私の行動以外にも何か原因となるものがあると清蘭様は言っていた。
不思議なことに闇の種子はないらしい。
芽吹いてもいない。
いっそ、種子を形作ってくれれば排除できるのに、今はマナの魂を緩やかに染めていくだけ。
マナの魂ごと排除しなければ闇は消せない。
緋魅もやってきた。
マナが眠ってから私のところに頻繁にやってくる。
闇が育って目覚める前に、あの魂を消滅させてしまえと。
そうすれば長く続く凄惨な因縁にけりがつくからと。
幸せになりなさいと・・・・例え焔霊にもどれなくても火喰い鳥の民としてでもいいから幸せになりなさいと。
切り捨てられるはずなどないのに。
ねぇ・・・・・マナ
過去で何を見たの?
目覚めて、私に教えてくれないの?ねぇ、マナ。
◆ ◆ ◆ ◆
波の音
聞こえる
呼んでいる
「眞那」
カレン?どうしたんだ。
花冠??
前にも話しただろう?
焔霊の俺が花に触れると花はたちまちしおれてしまうと。
その花冠はお前が・・・こら・・・カレン!だめだ!
だめだと・・・・
ほら、いっただろう。
これでは花がかわいそうだ。
え?
カレン
カレン、泣くな。
頼むから泣き止んでくれ。
頼むよ。
そんなに泣かないで。
いや、怒ってない。
怒ってないから。
本当だって。
嫌ったりしない。
嫌いになんてなれるわけないだろう。
お願いだから笑って。
あぁ、花は確かに可哀相だったけど、カレンに泣かれたら俺だって可哀相だ。
ん?
ちょっとまて。
何笑ってるんだ?
可愛いってのは誉め言葉になってないぞ。
笑うな。
笑うなって、カレン。
いや、それは・・・泣かれるよりはいいけど。
お前・・本当に・・・
いや、なんでもない。
なんでもないって。
・・・そんなに聞きたいのか?
いや、やっぱり、言えない。
内緒だ。
こんなこと言えるか。
お前本当に真っ直ぐで、我がままで・・・すぐ泣くし、よく人のこと馬鹿にするし、
本当にタチが悪いけど・・・・
だけど、お前が一番大事だよ。
いつまでも、二人こうしていられたらいいな。カレン。
カレンと呼ばれる火喰い鳥の少女
眞那と呼ばれる焔霊の青年
昔、昔、遠い過去・・・・青年は泣きながら愛する少女の体に火を放った。
長い長い時が過ぎ、マインドスナッチという青年が時間回帰をして彼らに出会う。
凄惨な過去の中でもあまりにも重たい二人の悲劇。
それは時間回帰の旅をするマインドスナッチという青年の記憶に残すことを拒絶される。
青年は眞那と呼ばれる焔霊がカレンと呼ばれた少女に火を放ったことだけを記憶した。
だが、二人の在り方は青年の魂を深く傷つけた。
記憶がないままつけられた傷は魂に深く深く刻み込まれ、
やがて、その魂を揺るがすほどに・・・・・
その魂を闇につき落とすほどに・・・・。
(過去編に突入します。しばらくマナは眠ってます)
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