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闇と鎖と一つの焔

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  • 04/27/05:44

31th day(PartⅡ)

水源の森で目覚める。
この先に水の宝玉の守護者が待つという・・・

黒い太陽の魔法陣を抜けてやってきたこの地。
水の宝玉戦は今の俺たちにとってはそれほど厳しい戦いにはなりそうにないと聞いている。
いやむしろ楽勝なんじゃないかという話だ。
俺自身もなんとなく勝てると思っている。

だが、この島では最近多くの変動が起こっているらしい。
何が起こるかわからない以上油断は禁物だ。


パンパンと頬を叩き、身を起こす

夜の間、森の中で眠るとき・・・おれはみんなから離れて眠る。
森の木々に火の粉を飛ばしてはいけないから、華煉が結界を張ってくれる。
その結界にパーティのみんなが弾かれてはいけないから。

ここは水源の森だから、木々を大切にしなければ行けない。
水源・・・・
近くで水の流れる音がする。
俺は服を脱ぎ捨て、久々に水の中に身を躍らせた。

そっと翼を広げると俺の周りの水がたちまちお湯に変わる。
温かい湯で身を清める。
あまり長い時間水の中に浸かっていてはいけない。
水のそばでは華煉の結界が弱まるから。



そう・・・・弱まることは知っていたんだ。
あのとき俺はどうして湯浴みをしたくなったのだろう。
今思い出してもなぜ急に湯浴みしたくなったのかわからない・・・




・・・・
「誰だ!」




何者かが俺に語りかけてくる。
何かが、まつわりついてくる・・
一刻も早く岸に上がらなければ・・・。


俺は岸に・・・・服に手を伸ばし、火喰い鳥のナイフに指が触れる。
ピリッと軽い痛みが走り・・・俺にまつわりついていた気配は消えた。

湯浴みをしてさっぱりしたはずなのに・・・妙に全身が疲労している。
俺は岸に上がり、裸のままがっくりと膝をついた。



胸の刺青に右手を重ね呼ぶ。
「・・・華煉」

ふわりっとした力が流れ込んでくる。
体が温かい空気に包まれる。



・・・ほんの一瞬だったのにあれほど重かった俺の体は軽くなり、ようやく俺は立ち上がることが出来た。
素早く身なりを整える。

気をつけていたのだが、やはり少し疲れていたのだろう。
服を着て翼を広げたとき軽く火の粉が飛んだ。

「きゃっ!」
「誰だ!」

振り向いた俺の目に映ったのは、金色の髪の少女
この長い耳はエルフ?
真っ赤な顔をしている。ひょっとして・・・


「いつから見ていた?」


そう聞いてみると、ますます真っ赤になってしまった。
どうやら俺をずっと見ていたらしい。


「別に見られて減るものでもないし、女じゃないから気にしないよ。あんたも気にするな。」


そういうとますます真っ赤になってしまった。
俺は少し居心地が悪くて、「じゃあな。」とだけいうと空を舞った。


◆         ◆         ◆


さっきのあの気配はなんだったんだろう。
あのエルフの少女とは思えない。
ずっと見ていた彼女には何か見えたのだろうか?



ずきっ


急にこめかみが痛む。
どきどき胸が痛む。
俺はようやく気がついた。
この水源の森のあたり一帯に何ものかの思念が残留している。
俺に何かを訴えてくる。

「っ・・・・誰だ。」

胸の刺青に右手をあて、華煉の名を呼ぶ前に意識が流れ込んでくる。

カエレ・・・ヒクイドリノ・・・アノ・・・サト・・・・
・・・・キケン・・・・・キケン・・・・・カレン・・・・・キケン
リンネ・・・クリカエシ・・・ホロビ・・
・・・・カエレ・・・かえれ・・・帰れ!あの里へ!そして守護契約を解除せよ!


「華煉!!」


光が視界を覆いつくす。
意識が真っ白になる。
そして・・・・・



「今のはなんだったんだ。」


気づくと俺は一人空の上を漂っていた。
華煉も何も語りかけてこない。
俺はため息をつくと気分を変える為に無理やり今日のことを考えた。

とにかく、トーキチローとベアと合流しなければ・・・。
それに今日は練習試合があるんだったな。そして、水の守護者か・・・

だが、そう簡単に気持ちは切り替えられなかった。

今の気配は?
あの言葉は?
守護契約の解除?
一体何のことだ?


◆         ◆         ◆


やってくれますね、清蘭様


この地で華煉の結界に穴を開けようとしていた清蘭。
その合間に、いつかこの地へ来るであろうマナに対してこんなトラップを用意していたとは。

マナがこの地に来た時、この地で水の守護者と戦いになるだろう。
水の守護者の使う技を受けて、いつかこの地でマナは水をかぶる。
それが発動のトリガー
両手で剣を使い敵の攻撃を受けているマナ。
戦いの最中に胸の刺青に手をあてる余裕などない。
その間にマナを思念で包み、里への帰還と守護契約の解除を刻み込む。
催眠・誘導のトラップ


でも、おあいにくさま。マナは自ら水に入ったわ。
水の守護者達との戦闘の前に。
余裕で胸の刺青に手をあて、華煉の名を呼べる時に。

そして華煉は力を揮う。
清蘭のトラップをあっさりと破れるだけの力を。

運命は私に味方した。
マナが里へ戻ることも・・・守護契約を解除することもない。

ねぇ、マナ。
いいよね。私たちずっと一緒で。
ずっと・・・・ずっと・・・・二人一緒に・・・・滅びを迎えるその日まで。

「ふっ・・・・っふふふ・・・・ふははははは・・・・ははっ・・・ふっ・・ふふ」

華煉は笑う。
その笑いに少しずつ少しずつ狂気が混ざる。

「はは・・・・あはははは」

その手は相変わらず糸を紡ぎ、布を織り続ける。

ぴしっ・・
ピシリ・・・

少しずつ、少しずつ亀裂が入っていく。
華煉の心に、精神に。
華煉の惰精は少しずつ少しずつ進行していく。
精神が蝕まれていく。
少しずつ少しずつ・・・・


◆         ◆         ◆


「すまん。待ったか?」
トーキチローとベアと合流する。

そして練習試合の相手と対峙する。
どこかで見たような金髪と青い目のエルフ。

「あっ」

彼女も一瞬目を見開いたが、にっこり笑うとこう言いきった。

「移動動物園ご一行様だったりします?」

・・・・・・・・・確かに、獣人部隊だがな。
俺は苦笑しながら、戦闘を始める。
しかし、美人三人相手はちょっとやりにくい。

淡々と剣を抜いたつもりだったが・・・

  あのとき真っ赤になっていた少女が余裕でにっこり笑って魔術を紡ぐ。
  余裕の笑みすら湛えながら。

その落差に俺は少し動揺していたのかもしれない。
女は化けるものだと知ってはいたが・・・
練習試合の相手は女性3人。
水の守護者は女性2人。


「今日は女難の日かもしれないな・・」

俺はそっとつぶやいた。


※エレニア・メイヴァル様 練習試合の対戦に際して、お借りしました。
 少々失礼なことをしてしまったかもしれませんが(汗
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