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背後事情により→60日目日記補完
土日更新の別ゲームでミスを2連発でやって、ちょっとリカバリーが・・・
日曜夜に日記補完とかいろいろやるんですが、それどころじゃない感じ。
59日、60日 連続日記・メッセ全敗宣言を早くもしておきます。
あっちとあっちをはやく何とかして楽しい闘技の話に入りたい・・・・orz
今日この時をずっと待っていた。
4つ目の証
そして・・・・異常を取り除く力を持つ玉石
私にとって今一番必要な物
私は一度だけ振り返る。
オッド・アイの弓使いがこちらをみてにっこりと笑う。
うん、大丈夫。
一人じゃないから。
だから・・・・・・負けない。それに・・・・負けられない。
私は剣を構える。
目の前にいる大きな目をした彼女に声をかけながら、焔の揺らぎを感じる。
「あめ玉ありがとう。でも・・・・・手加減はできないの。」
◆ ◆ ◆ ◆
「手加減できないわよ。本当にいいのね?」
目の前を舞う焔
そして、煌く白刃を間髪避ける。
カシャーン
細身の剣が絡み合う音
翼と共に舞う火の粉
俺は左手をすっと前に差し出す。
手のひらから焔が伸び、盾を形作る。
「あーーー、マナずるい!焔霊の力を使うなんて!」
「それなら私も参戦しようか。カレンを守るためにな。」
「そうやって嬉々として緋魅が参戦するなら、俺もマナの守護者として参戦するけど?」
こうして、俺とカレンが練習を始めると必ず緋魅と橙輝が混ざろうとする。
いつもの乱戦。
制するのはいつも・・・・・
カシャーーーン
「今回も私の勝ち。マナ油断しすぎ♪」
俺の手から落ちる剣。
・・・・・俺はカレンに勝てずにいた。
『そろそろ本気やるほうがいいんじゃないの?』
橙輝の声が遠慮がちに俺の頭の中にだけ響く。
橙輝は誤解している。
俺は手を抜いてなどいない。
ただ・・・
『いつも本気だとも。なぁ、マナ。・・・・・私の干渉を撥ね退けるとはたいしたものだよ。』
これも橙輝に聞こえないように俺にだけ聞こえる声。
俺の方を笑いながら見つめる火霊、緋魅。カレンの守護精霊。
「緋」を冠する焔霊は「橙」よりも強い。
その力でいつも橙輝の結界をすり抜けて、俺の精神に干渉しようとしてくる緋魅。
『おかげさまで・・・俺の焔霊としての力は欠片も損なわれそうにないけどな・・・・』
頭の中で応える。
きっと緋魅には聞こえているはずだ。
火喰い鳥の民となってずいぶん経つのに、俺の焔霊としての力は未だ衰えない。
不思議なぐらい残されている。
これには鎖刻女様も驚いておられた。
印を彫っても未だ堕精しきらず、力を有する火喰い鳥の民。
前例のないことだと・・・・。
そう言って黙ってしまわれた。
力が消えないことはきっと吉兆ではなく凶兆だろう。
おそらく、俺には何かしらの役目があり、それを終えるまで力は消えない。
先に待つのは焔霊の力を保持しないと潜り抜けられないような容易ならざる事態・・・・。
誰がそんなものに巻き込まれたいと思う?
鎖刻女様の沈黙が重かった。
だが、俺にはカレンがいた。
決して失えぬもの。
これからも、俺の中の一番大事なものは、きっと揺らぐことがない。
だから、俺は自信を持って今を生きている。
そんな俺の力を量るかのように・・・・緋魅は俺に干渉してくる。
橙輝は知らない。
知ったらおそらくショックを受けるだろう。緋魅と己の実力の差に。
いつか俺が塵と化す日。
俺の力をすべて受け継げば、きっと橙輝は強くなる。
俺はそうおもって橙輝を選んだ。
元の俺よりもはるかに力の劣る焔霊を。
俺の焔霊としての力が予想外に失われなかったため・・・
火喰い鳥の民である俺よりも焔霊としての力の劣る橙輝を。
『ふふ。私の干渉ごときでお前の力が維持されていると?違うことなどわかっているのだろう?
お前に守護精霊など必要ない。
緋の位を持つ私の力すら撥ね退ける焔霊としてのその力・・・・そこの間抜けにすべて渡すつもりなのか?』
『・・・・・・・俺の選んだ守護精霊だ。莫迦にするなら本気で相手をしようか?緋魅。』
剣を鞘にしまい、息を深く吸って、吐き出す。
周囲の熱が上がる。
俺は翼を広げて、そして緋魅の方を少しだけ見つめる。
「すげぇ・・・・・」
橙輝が呟くのが聞こえる。
橙輝には見えるはず。俺の身を包む焔がとてつもなく強くなっていること。
「マナ?」
カレンが心配そうな声を上げる。
辺りの空気がひずむ。
視界はもはや役に立たないが気配だけでもそこに何が「いる」かわかる。
『カレンに余計な気を遣わせたくはない。謝罪しよう。私が言いすぎた。』
頭の中で響く声。
俺はもう一度息を吸って、そして吐き出し、目を開ける。
少しだけ残った熱。
とてつもない高温だったはずだが、緋魅の結界がカレンを熱から守っている。
結界のない場所は・・・・・
「橙輝、火を消してくれ。」
俺の言葉に答えて橙輝は力を揮う。
焔はあっさりと消火された。
「マナ?今のマナの力?」
「そうだ。」
俺は一言だけ返した。
俺の声から何かを察したのだろう。
カレンはそれ以上何も訊かなかった。
「あたし・・・・先に戻るね。」
カレンは去り、緋魅の気配も消えて・・・その場に残ったのは・・・
「参ったな。眞那には俺の守りなど必要なさそうだ。」
「・・・・もう俺はその名にふさわしくないよ。」
「いや・・・・・二人の時は眞那って呼ばせてくれよ。
俺よりも力の強い奴を『マナ』と呼ぶなら、俺こそ『トキ』と呼ばれないといけなくなってしまう。」
そういうと橙輝は悔しそうに気を吐き出した。
絶対的な力の不足。
だからこそ、守護精霊となることを望んだ橙輝。
「・・・・・・・・俺はもはや常命の存在。いつかは消える。
俺の力も、この身も・・・・いつかすべてはお前に引き継がれる。
だから、その日まで」
力を貸してくれるんだろう?俺に何が起こっても、最後まで力を貸してくれるんだよな?
言葉にしなくても伝わるはずだ。
お前は俺の守護精霊なのだから。
そうだろう?
空気が少し暖かくなる。
それで十分だった。
「戻ろう」
朝のうちは武術を練習するこの場所に来る者などほとんどいない。
だから、俺とカレンはこの場所で互いの剣を競っていたのだが、あと少ししたら火の儀礼前の子供達がやってくる。
技を磨き、成人儀礼にふさわしい術を身につけに。
その前にこの場を離れておかないと、子供たちに遊ばれてしまう。
ついこの前の成人儀礼を行う前まで、俺も彼らと同じ立場だったのだから。
「あ、マナだ。一緒に遊ぼう!!」
そう・・・こんな風に・・・・こんな・・・
「何?お前達、いったい・・・・」
「今日は早く勉強の時間が終ったんだ。ねぇマナ遊ぼう!」
「一緒に遊んで、マナ」
「マーナ、また焔見せてよ」
「マナ」
「マナ、剣で勝負してよ!」
すっかり子供たちに囲まれてしまった。
どうやら簡単には開放してくれそうにない。
「わかった。ちょっとだけだぞ。」
わぁっと喜ぶ子供たちに囲まれて・・・・ちょっとで済むとはとても思えなかった。
やがて、日が暮れる頃に戻った俺は家で書置きを見つける。
「急な用事で留守にします。5日ぐらいで帰ってこれるから。
ちゃんとご飯食べてね。橙輝さん、マナをよろしくね カレン」
何か違和感。
仕事で出かける時はどこに行くかをいつもカレンはきっちり残していく。
港町の市まで護衛するとか、山間の市で鍛えた業物を売ってくるとか・・・
こんな風に行き先を残さずに出かけるのははじめてだ。
俺は少し遠くを見て、そして呼ぶ。
「橙輝」
「なんだ、魔那」
「カレン、どこに行ったか追えるか?」
「莫迦なことを言うな。魔那に追えないのに、俺に追えるわけがないだろう?」
「そういうな。人になった俺の力は里の外へはほとんど伸びないって知っているだろう?」
橙輝は顔をしかめる。
そして、こういった。
「カレンは里の中にいる。」
「何!」
「里を出た者はいなかった。緋魅が目くらましをしたとしても、里の結界を出る姿をごまかすぐらいだ。
この里の結界を何者かが跨げば俺でも感知できる。そんなことわかってるだろう?」
確かに、この里の結界はとても緻密で、そこを出入りするものがいれば焔霊はその出入りをすべて察知できる。
というより、結界に一時的に穴が空くとそれを察知してしまう。
俺にもその感覚はいつもなら伝わってくるのだが・・・所詮は人間。見落としがないとは言い切れない。
だが、橙輝にすら察知できないなどといことはありえない。
この里の中にいるのに、5日間も不在?
しかも、里の中にいるのに、俺にも橙輝にもその気配をかけらもつかませないなんて・・・・
「カレン・・・・・お前いったい・・・どこに行ったんだ?」
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