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闇と鎖と一つの焔

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  • 10/18/20:19

24th day(フルバージョン)

二つの道(後編) (今回の日記は23日目の続編で場所はまだ遺跡外です)

昔々の物語
 
小さな火の精が人間の女の子に恋をしました。
火の精は人間に化けて女の子にプロポーズ。
二人は結婚して仲良く暮らしていました。
 
やがて女の子は赤ちゃんを授かりました。
ところが火の精の子どもはやっぱり火の精で・・・
女の子はおなかの子どもの火に耐えられず焼け死んでしまいました。
 
残された火の精は哀しくて、
泣いて泣いて・・・泣きながら神様にお願いしました。
「彼女を返して下さい。僕は何でもします。」
大泣きする火の精は少しずつ自分の涙で消されて今にも消えそうでした。
 
かわいそうに思った神様は火の精に言いました。
「一度死んだ者は戻ってこない。
だけど、一度だけ彼女を生まれ変わらせてあげよう。
 そのかわりに君はもう二度と火の精には戻れないよ。
 それに君の姿も変わる。
彼女は君のことを憶えていない。
それでも構わないかい?」
 
火の精は答えました。
「かまいません。僕は必ず彼女をもう一度見つけます。」
 
神様が力を揮うと遠くの方で赤ん坊の声がしました。
そして火の精の姿はみるみる変わって、彼は炎の翼を持つ不思議な人に変わりました。
 
「彼女を見つけてごらん。今度こそ彼女との間になら子どもも授かるよ。
ただし、間違えると君の選んだ人はまた子どもと共に死んでしまうかもしれない。
絶対に間違えてはいけないよ。」
 
そういい残して神様は消えました。
 
彼は一人探しました。
彼と神様が出会った日に生まれた女の子。
彼の愛する彼女の生まれ変わりを。
 
 
やがて彼は一人の女の子に出会います。
彼女こそ愛した人の生まれ変わりに違いない!
彼はそう思って女の子にプロポーズ。
彼の姿におびえていた彼女も、やがて彼に惹かれ、二人は結婚しました。
 
二人の間にはなかなか子どもを授かりませんでした。
彼は今の彼女をとても愛していました。
もしも彼女があの女の子の生まれ変わりじゃなかったら・・・
彼は彼女を失うのが怖かった。
 
ある日彼女は尋ねます。
「貴方は子どもが嫌いなの?」
 
彼はすべてを打ち明けます。
昔の女の子とのこと。
神様の話。
彼女を見つけたこと
そして、今の彼女をとても深く深く愛していることを。
 
彼女はとても驚きました。
彼は自分が生まれたときから愛する人を探していた。
昔の女の子にとても嫉妬しました。
でも彼が今の自分をとてもとても愛してくれていることも知りました。
 
生まれたときから彼に出会うために生きている女性がいる。
その女性が自分以外だとは思えない。
彼女は決意します。
 
そして、二人は子どもを授かりました。
二人はとてもとても不安でした。
やがて子どもが生まれる日を迎えました。
彼は彼女の手を握り、彼女は彼の手を握り、そのときを迎えました。
 
 
 
 
生まれたのは小さなオレンジの卵
 
 
 
 
彼女こそあの女の子の生まれ変わりでした。
卵から生まれたのは炎の翼を持つ有翼種の女の子。
 
 
二人はその後も多くの娘を授かりました。
その娘達が普通の人と結婚して生まれた子供たちも炎の翼を持つ有翼種でした。
 
 
こうして強い炎の力を持った火喰い鳥の民が生まれましたとさ。


火喰い鳥の里に伝わるおとぎ話



*           *           *




闇の中

 


華煉は思い出していた・・・つい先ほどの出来事を

 


聖霊は言った。


華煉の性が固定化しつつある。
決まった姿を取ろうとしている。
華煉は精霊ではなくなろうとしている・・・と。

 

 *           *           *




焔霊の堕精

 



過去にも例がないわけではない。
現実世界の何かに近づくことで、固定した形を取り、精霊としての特性を失う。
物質化による堕精。
精霊が物質化する理由は現実世界に近づきすぎること


その原因にはヒトが介在することが多い。


ヒト以外の動物や木々と共感して物質化して堕精するものもいないわけではない。
だが、ヒト以外との共感は堕精までは行かないことが多い。


そのため、堕精した焔霊は大抵の場合ヒトの形となる。
高い火の属性を持ったまま、自らが精霊であったことを忘却してヒトとなり、輪廻の輪の中へと組み込まれる。





だが、もとが精霊である以上、その特性は非常に霊的なものを通し、増幅させやすい。
また、もとが火の聖霊である以上、地のしがらみを受けにくい形・・・つまり翼を有したヒトの形を取ることが多い。





それが火喰い鳥の民の一部




もちろん火喰い鳥の民の皆が焔霊の受肉した堕精というわけではない。
中には堕精した民が生んだ卵から孵った者もいる。





ヒト型でありながら卵で生まれる民。




最初の堕精した焔霊・・・火喰い鳥の民の始祖は男性だった。
生涯で何人もの女性を愛したが、一人の女性も彼の子を生めなかった。
普通の人が焔霊の血を引く子供を身ごもっても、その体を焼かれるだけで、母体も胎児も死を迎えるのみだった。


見かねた精霊王が母体を傷つけないように胎児の力を弱めたところ・・・・母胎内にいるときから魔に取り込まれ、生まれると同時に母親を焼き殺した。
それが最初の火喰い鳥の子 イール


だが、彼はそのまま魔に食い殺された。
実界に大きな災害を引き起こす大魔法の媒体とされ、魔法の完成と共に生贄として命を奪われ死を迎えた。
実界には大きな被害が発生し、精霊王は実界への介入を行いようやく事態は沈静化した。


実界にこれ以上被害を出さないために、精霊王は火喰い鳥の民の始祖が選んだ女性に干渉し、胎児を包む卵の殻を用意した。
子は生まれつき強い火の力を有し、卵の結界にも守られて母胎内で魔に侵食されることはなくなった。


生れ落ちた卵は特殊な結界内で孵化し、生まれると同時に額に火喰い鳥の民を守護する焔霊王の手により守護の刺青を彫りこまれる。
これが火喰い鳥の民の伝統となった。



堕精した焔霊はその後も現れ、新たな血が入ることで火喰い鳥の民はごく普通の一族のように栄えた。
マナのように額に刺青を有する火喰い鳥の民は堕精した焔霊の子孫だ。









そして、今・・・・・・・・
マナに感情移入しすぎる華煉。
禁忌ともいえる身体への空間の固定。




華煉も実界に侵食され始めていた。





*           *           *




「堕精を食い止めることは今ならまだ出来る。方法はわかっておるだろう?」









わかっている。



すでに侵食は始まっている。
華煉の身体はマナの影響を受けやすいように変質している。

今更マナとのつながりを断ち切って、つなぎ直したとしても、この変化は止まらない。
マナとのつながりを完全に断ち切らなければならない。




方法は華煉の知る限り二つ

 

一つは守護精霊を降りること。


マナに別の守護精霊をつけ、完全に離れることで変化を止めることが出来る。
だが、そのためには焔の元服をやり直さなければならない。
新しい守護精霊を決める儀式は火喰い鳥の里でしか出来ない。

あの里は特異な結界が張られている。
だから守護精霊が一旦離れても火喰い鳥の民の安全は確保される。
あの場所以外で守護霊交換をしても一瞬はなれたその隙を魔に狙われるかもしれない。

そして・・・マナは今すぐ島を出るつもりはない。





もう一つの方法
そちらは今この場でもできる。




マナを殺してしまえばいい。




火喰い鳥の民の肉体は死んだあとですら良質な魔術媒体となりえる。
焔霊の血を引くということは精霊界に通じるということ
人の血を引くということは実界に通じるということ
その身体を魔を持つ者が利用すれば、精霊界、実界、魔界に干渉することが出来る。
三世界への干渉
神域にこそ干渉できないとはいえ、多くの被害をもたらす災いを簡単に呼ぶことが出来る。




そのため、通常は火喰い鳥の民が死んだあと
・・・守護精霊はその肉体を乗っ取って、自らの力に昇華しなければならない。



焔の元服ののち何十年にもわたる共生。
それが肉体を力に変えることを可能にする。
火喰い鳥の民の肉体を取り込んだ焔の精霊はその力を飛躍的に増大させる。
精霊たちはその目的のために脆弱な火喰い鳥の民を守ることを志願する。



華煉もそうだった。
マナを守り、尽くすのは、自分の力を伸ばすため。
マナと親密な関係を築くのは、マナの体をより効率よく力として取り込むため。
より長く生きてくれるほうが、より深い共生関係を築け、より多くの力を得られるのだ。
そのために全力を尽くして火喰い鳥の民を守る。






すべては自分の力のため。
マナの望むたおやかな女性、おとなしい女性を演じるのもすべてはそのときのため。






今マナが死んでしまえば、得られる力はそれほど多くない。
いままでやってきた努力の半分ぐらいは無駄になる。


だが・・・惰精してしまえば、力など関係なくなってしまう。
今は堕精しないことが大切だ。





マナを殺す?
私がこの手で??












ためらう華煉に聖霊が声をかける。







「いま殺してはいかんよ」







昇華には多くの時間がかかり、その間、精霊は実界で生活することを余儀なくされる。
華煉が聖霊に薬をもらい、実界を知ろうとしたのは、マナが死んだあとの実界での生活に備えてのこと。
いつか来るであろうマナとの死別のときのために、華煉は現実世界を知らなければならなかった。


だが、実界に干渉され、女性に固定化されかけている華煉が昇華を今行うことはできない。
今昇華を行えば、華煉はそのままマナの肉体を女性に変えて受肉してしまうだろう。




「方法は一つしかない。火喰い鳥の里に行き、守護契約を解除せよ。
そうしなけば・・・おぬしは堕精し火喰い鳥の民となる。
それと同時にあの火喰い鳥の民は守護者を無くし、

・・・・残るのは守護のない火喰い鳥の民が二人
それを精霊界と魔界が放置するとは思わぬことだ。」






*           *           *






マナを殺すという選択を考えたとき・・・頭の中で自分はそれを完全に否定していた。
だから、マナを殺す方法ではダメだと言われたとき・・正直ほっとした。






そして残されたのは二つの道




一つはマナと完全に別れるために火喰い鳥の里に戻り守護契約を解除する。



もう一つは今のままでいること

守護をなくした火喰い鳥の民が二人・・・マナと二人で闇に堕ちるかもしれない。





マナを守るための道は一つしかありえない。

華煉のためだといえば、マナは里に戻ってくれるだろう。




その先にあるのは永遠の別れ
マナは新しい守護聖霊を選び、自分は精性が戻るまで精霊界に帰る。



だけど・・・・・





いつもの空間に戻って小さな火と一緒になったとき・・・別れていた間のマナの行動が華煉の心に流れ込んできた。
小さな力しか持たない、この場に残した力。
小さな小さな炎。



遺跡外に出た日・・・行われていた灯明祭。



華煉の姿形をとるだけで精一杯の小さな炎は・・・花を手に取ることが出来なかった。
やさしいマナとの二人だけの灯明祭





あの日華煉が選んだ花
小さな小さな自分が選んだ素直な心。




アンモビウム

「不変の誓い」



マナが死ぬまでマナを守り、マナが死んだあとも力を揮うたびにマナを思い出す。
マナは私の中で永遠に生きる。
それはずっと変わらぬ気持ち



これをあの聖霊が聞けば、実界に干渉されすぎだと怒るかもしれない。
力は力。
火喰い鳥の民の力を吸い取れば、実界のことなど忘れるのが普通の守護精霊のありかただから。



そしてアンモビウムのもう一つの花言葉は、・・・・・・・・

まるで今のこの事態を小さな自分も無意識に感じていたかのよう。






「永遠の哀しみ」





自分はマナに深く深く関わっている。

最初は力を強くするためだった。
マナが自分を気にかける・・・その姿を見て、不敵に微笑んだことすらある。

自らの手の中に落ちるであろう力。
その力が着々と育っていることに満足感を得ていた。



でも今となっては違う。



マナと別れるのも永遠の哀しみ
二人で闇に堕ちるのも永遠の哀しみ






ほかに道は残されていないの?






華煉の問いに答える者はいない。
 

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