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28thdays
今回に限りたたみ・・・理由は
「雪か・・・・」
この島にも四季があるとは思わなかった。
サバスと名乗る男を退けて・・・・そして、ふと空を見上げた俺の肩に舞い落ちる白い雪
ついこの前、紅葉の市で買い物をしたばかりだというのに・・。
遺跡の中の擬似的な空でありながら・・・肩に積もる雪は綺麗な水の結晶。
華煉は今俺の肩にはいない。
まだ、疲れが残っているのかと思ったら・・・どうやらそうではないらしい。
呼べば出てくるし、戦闘の時には気配を感じる。
人と話す時には肩の上に現れることも多い。
この前もサバスがバタバタと走り去った時に、華煉は俺の肩の上にいた。
サバスの謎な言葉を一言も漏らさぬよう・・・真剣な表情で耳を傾けていた。
華煉がどんな時に表に顔を出しているのか、俺にはわからない。
前はハーカとベアと別れた時に、俺単独行動だと危険だからと顔を出していた。
・・・と・・・俺はそう思っていた。
だが、違っているのかもしれない。
あのとき・・・俺が単独行動をとったから出てきたのではなく、俺が「ビーバーに会うから」出てきたのかもしれない。
紅葉の市のときとサバスのとき。
多くの人に出会うときや、この島に関わる謎の片鱗に触れる時に華煉は表に出てきているようだ。
まるで、この島のこと、この島の謎を吸収しようかとしているかのようだ。
サバスに出会って、サバスと戦い、サバスと別れ、シヴェルとも別れ・・・・俺が一人になった今。
俺は単独行動になったのに、華煉は戻ってしまった。
危険がないと考えたのだろうか、
それとも、危険を察知したらすぐに俺を守れるような場所で待機しているのか
水の気配が強い雪の日。
華煉がいないと少々寒い。
あと少しで久しぶりにベアとトーキチローと合流する。
すでにシヴェルと別れて時間が経った。
ベアとトーキチローは無事だろうか?
トーキチローと組むのは今回遺跡に入ってからはじめてだ。
最初はハーカとベアと組んで山を抜け
そのあと単独でビーバー戦
シヴェルと合流して、サバス戦。
数えてみたら、トーキチローとあうのは・・・島に来て23日目に練習試合をして以来のことだ。
ベアともそのあと別れて・・・
ずいぶん長く感じる。
俺は少し足を早めた。
雪の降る日には俺の炎の翼は使いにくい。
いつもと違って歩くしかない。
俺は歩く。
もくもくと歩く。
歩いていたからこそ気づいたのかもしれない。
かすかな火の気配。
華煉じゃない。
この火の気配には水の気配も混ざっている。
俺は少し考えると寄り道をすることにして遺跡内の獣道に分け入った。
火の気配を追い、歩くこと数分。
ところどころでは翼を使って断崖を越えないといけなかった。
険しい山道を登り・・・俺は水の気配の混ざった火の気配の正体にようやく気がついた。
温泉
まさか、こんなものまであるとは・・・・
だが、正直ありがたい。
俺の見つけた小さな温泉は、おそらく翼を持つものでしかたどり着けないであろう、山の奥にあった。
小さな川のごくごく一部に湯気が出ていることぐらいしかわからないその場所。
だが、手を浸すとほのかに温かい。
冷たい雪の日
舞い散る雪を見ながら、俺は一人静かに雪見風呂を楽しんだ。
俺が一人で入っていると、山から猿の子が一匹やってきた。
俺の方を見ていたが、敵意がないと思ったのか、ちゃぽんと湯に入ってきた。
「ずいぶん警戒心のない小猿だな・・・お前・・・どこから来たんだ?」
もちろん小猿から返事はない。
だが、別に構うまい。
こちらにかかって来ない小猿を気にすることなどない。
そのまま、のんびりと湯につかる。
もっと長く温まっていたかったが、このままこの湯にずっと浸かっているわけにもいかない。
俺が湯からあがって、服を身につけ・・・そして剣を手に取ったとき
「キキッ!!」
と一声なくと小猿は山の中へと消えていった。
こんな山奥の小猿が・・・それも俺をみてもなんら警戒しなかった小猿が・・・
剣を知っている?
剣を危険なものだと知っている?
俺はあることに気づいて翼を広げ空に舞う。
そして気づく。
俺が上ってきた山道は確かに険しく、普通の人は登って来られないであろう場所だった。
だが、山の逆側は・・・
そこには開けた温泉地
珍しく飛ばずに歩いていた俺は距離感すら逸していたようだ。
遠くで女性の嬌声が聞こえる。
俺は厄介ごとに巻きこまれる前にその場を離れた。
* * *
その後、ベアとトーキチローと合流した俺は、このあと剣を向けるビッグエイプの後ろに小猿の姿を見かけて、大いにたじろぐことになる。
どうか、このビッグエイブたちがトーキチローに魅惑されますように。
彼らを殺さずに済みますように。
俺はそう思いながら、剣を抜いた。
どうやら、久々にあったベアとトーキチローと組んでの戦いは・・・
気が進まない戦いになりそうだった。
「湯けむり煩悩温泉」に煩悩の欠片もなく協賛してみました。
華煉は参加させない。だって一人1キャラだから(苦笑
* * *
そのころ、華煉は糸をつむいでいた。
これから寒くなる。
火喰い鳥の民は自らの体から炎を発するから・・・寒さには強いと思われがちだ。
だが、彼らとて、ずっと炎を発していられるわけではない。
身を暖める服は絶対に必要で・・・そしてその布は炎に強い布で無ければならない。
エキュオスやマナやいろいろ考えないといけないこともあるが、まずは普段の生活を守るところから。
華煉は紡ぐ
細い糸を
クリスマスには間に合うかな?
そう思いながら糸を紡ぐ。
用意しているのはマナが羽織るためのマント
だが、華煉は気づいていない。
無意識に自分がいつもより多くの糸を紡いでいること。
着々と進む堕精。
このまま進行すれば華煉が火喰い鳥の民に堕精するのは時間の問題。
そしてそのとき華煉が身につけられるのは、マナと同じで炎に強い素材の布だけ。
マナのマントは・・・・まだ去年の冬の物が使える。
普段の華煉ならこの時期にこれを用意することなど絶対にない。
無意識に恐れている。
無意識に気づいている。
無意識が華煉を駆り立てる。
もはや避けられないかもしれない事態に備えて・・・。
そんな華煉の右の腕には赤い石のついた腕輪。
力を無くしていた華煉は聞いていなかった。
あのレン之助が用意した指輪だから、火ととても相性がいい指輪と腕輪。
そんな認識しかなかった。
「紅い石はうちの故郷じゃ女の子がよく身に着けている。
恋愛の運気が上がるとか、上がらないとか・・・。」
そんな言葉も聞いてはいなかった。
* * *
運命の糸車は廻る、廻る。
一人の火喰い鳥の民と一人の焔霊。
彼らはまだ知らない。
絶望的な状況の中で、それでも紡がれる細い細い糸に祈りを奉げている者がいること。
どうか、華煉を
どうか、マナを
廻る糸車、織り成す模様、幾度も重なり綴られる・・・・巡る運命。
何度も何度も繰り返される絶望的な状況で・・・それでも
今度こそ・・・今回こそ・・
見守る者がいる。
見つめる者がいる。
稀有な運命
稀有な邂逅
稀有な人々
そして、この島の持つ不思議な力
幾人もの人と出会いにより、新たな糸が、新たな模様が生まれることを希(こいねが)う。
祈りを奉げる者がいることに、マナも華連もまだ気づいてはいなかった。
「雪か・・・・」
この島にも四季があるとは思わなかった。
サバスと名乗る男を退けて・・・・そして、ふと空を見上げた俺の肩に舞い落ちる白い雪
ついこの前、紅葉の市で買い物をしたばかりだというのに・・。
遺跡の中の擬似的な空でありながら・・・肩に積もる雪は綺麗な水の結晶。
華煉は今俺の肩にはいない。
まだ、疲れが残っているのかと思ったら・・・どうやらそうではないらしい。
呼べば出てくるし、戦闘の時には気配を感じる。
人と話す時には肩の上に現れることも多い。
この前もサバスがバタバタと走り去った時に、華煉は俺の肩の上にいた。
サバスの謎な言葉を一言も漏らさぬよう・・・真剣な表情で耳を傾けていた。
華煉がどんな時に表に顔を出しているのか、俺にはわからない。
前はハーカとベアと別れた時に、俺単独行動だと危険だからと顔を出していた。
・・・と・・・俺はそう思っていた。
だが、違っているのかもしれない。
あのとき・・・俺が単独行動をとったから出てきたのではなく、俺が「ビーバーに会うから」出てきたのかもしれない。
紅葉の市のときとサバスのとき。
多くの人に出会うときや、この島に関わる謎の片鱗に触れる時に華煉は表に出てきているようだ。
まるで、この島のこと、この島の謎を吸収しようかとしているかのようだ。
サバスに出会って、サバスと戦い、サバスと別れ、シヴェルとも別れ・・・・俺が一人になった今。
俺は単独行動になったのに、華煉は戻ってしまった。
危険がないと考えたのだろうか、
それとも、危険を察知したらすぐに俺を守れるような場所で待機しているのか
水の気配が強い雪の日。
華煉がいないと少々寒い。
あと少しで久しぶりにベアとトーキチローと合流する。
すでにシヴェルと別れて時間が経った。
ベアとトーキチローは無事だろうか?
トーキチローと組むのは今回遺跡に入ってからはじめてだ。
最初はハーカとベアと組んで山を抜け
そのあと単独でビーバー戦
シヴェルと合流して、サバス戦。
数えてみたら、トーキチローとあうのは・・・島に来て23日目に練習試合をして以来のことだ。
ベアともそのあと別れて・・・
ずいぶん長く感じる。
俺は少し足を早めた。
雪の降る日には俺の炎の翼は使いにくい。
いつもと違って歩くしかない。
俺は歩く。
もくもくと歩く。
歩いていたからこそ気づいたのかもしれない。
かすかな火の気配。
華煉じゃない。
この火の気配には水の気配も混ざっている。
俺は少し考えると寄り道をすることにして遺跡内の獣道に分け入った。
火の気配を追い、歩くこと数分。
ところどころでは翼を使って断崖を越えないといけなかった。
険しい山道を登り・・・俺は水の気配の混ざった火の気配の正体にようやく気がついた。
温泉
まさか、こんなものまであるとは・・・・
だが、正直ありがたい。
俺の見つけた小さな温泉は、おそらく翼を持つものでしかたどり着けないであろう、山の奥にあった。
小さな川のごくごく一部に湯気が出ていることぐらいしかわからないその場所。
だが、手を浸すとほのかに温かい。
冷たい雪の日
舞い散る雪を見ながら、俺は一人静かに雪見風呂を楽しんだ。
俺が一人で入っていると、山から猿の子が一匹やってきた。
俺の方を見ていたが、敵意がないと思ったのか、ちゃぽんと湯に入ってきた。
「ずいぶん警戒心のない小猿だな・・・お前・・・どこから来たんだ?」
もちろん小猿から返事はない。
だが、別に構うまい。
こちらにかかって来ない小猿を気にすることなどない。
そのまま、のんびりと湯につかる。
もっと長く温まっていたかったが、このままこの湯にずっと浸かっているわけにもいかない。
俺が湯からあがって、服を身につけ・・・そして剣を手に取ったとき
「キキッ!!」
と一声なくと小猿は山の中へと消えていった。
こんな山奥の小猿が・・・それも俺をみてもなんら警戒しなかった小猿が・・・
剣を知っている?
剣を危険なものだと知っている?
俺はあることに気づいて翼を広げ空に舞う。
そして気づく。
俺が上ってきた山道は確かに険しく、普通の人は登って来られないであろう場所だった。
だが、山の逆側は・・・
そこには開けた温泉地
珍しく飛ばずに歩いていた俺は距離感すら逸していたようだ。
遠くで女性の嬌声が聞こえる。
俺は厄介ごとに巻きこまれる前にその場を離れた。
* * *
その後、ベアとトーキチローと合流した俺は、このあと剣を向けるビッグエイプの後ろに小猿の姿を見かけて、大いにたじろぐことになる。
どうか、このビッグエイブたちがトーキチローに魅惑されますように。
彼らを殺さずに済みますように。
俺はそう思いながら、剣を抜いた。
どうやら、久々にあったベアとトーキチローと組んでの戦いは・・・
気が進まない戦いになりそうだった。
「湯けむり煩悩温泉」に煩悩の欠片もなく協賛してみました。
華煉は参加させない。だって一人1キャラだから(苦笑
* * *
そのころ、華煉は糸をつむいでいた。
これから寒くなる。
火喰い鳥の民は自らの体から炎を発するから・・・寒さには強いと思われがちだ。
だが、彼らとて、ずっと炎を発していられるわけではない。
身を暖める服は絶対に必要で・・・そしてその布は炎に強い布で無ければならない。
エキュオスやマナやいろいろ考えないといけないこともあるが、まずは普段の生活を守るところから。
華煉は紡ぐ
細い糸を
クリスマスには間に合うかな?
そう思いながら糸を紡ぐ。
用意しているのはマナが羽織るためのマント
だが、華煉は気づいていない。
無意識に自分がいつもより多くの糸を紡いでいること。
着々と進む堕精。
このまま進行すれば華煉が火喰い鳥の民に堕精するのは時間の問題。
そしてそのとき華煉が身につけられるのは、マナと同じで炎に強い素材の布だけ。
マナのマントは・・・・まだ去年の冬の物が使える。
普段の華煉ならこの時期にこれを用意することなど絶対にない。
無意識に恐れている。
無意識に気づいている。
無意識が華煉を駆り立てる。
もはや避けられないかもしれない事態に備えて・・・。
そんな華煉の右の腕には赤い石のついた腕輪。
力を無くしていた華煉は聞いていなかった。
あのレン之助が用意した指輪だから、火ととても相性がいい指輪と腕輪。
そんな認識しかなかった。
「紅い石はうちの故郷じゃ女の子がよく身に着けている。
恋愛の運気が上がるとか、上がらないとか・・・。」
そんな言葉も聞いてはいなかった。
* * *
運命の糸車は廻る、廻る。
一人の火喰い鳥の民と一人の焔霊。
彼らはまだ知らない。
絶望的な状況の中で、それでも紡がれる細い細い糸に祈りを奉げている者がいること。
どうか、華煉を
どうか、マナを
廻る糸車、織り成す模様、幾度も重なり綴られる・・・・巡る運命。
何度も何度も繰り返される絶望的な状況で・・・それでも
今度こそ・・・今回こそ・・
見守る者がいる。
見つめる者がいる。
稀有な運命
稀有な邂逅
稀有な人々
そして、この島の持つ不思議な力
幾人もの人と出会いにより、新たな糸が、新たな模様が生まれることを希(こいねが)う。
祈りを奉げる者がいることに、マナも華連もまだ気づいてはいなかった。
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