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52th day
ため息をつきながら・・・・それでもあっさりと戦闘は終わる。
神獣隊にとって、もう地下1階の敵はほとんど相手になってない。
ベアさんの銃でなぎ払ってくれるから、私が普段使わないような技を使ってもそんなに影響しなかったみたい。
今日はまた一人で移動なので・・・あとでちょっとだけ時間が出来たら火喰い鳥のナイフを取り出してみよう。
床をあるいて・・・また砂地に出る。
翼を出して飛ぼうとして気づく。
「何・・・・これ・・・・・」
私の翼の一番先。
風斬り羽根が1枚・・・・・・・・・・・黒くなっていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「マインドスナッチ・・・おるか?」
清蘭はささやきながら紅瑪瑙石の中に顕現した。
華煉の護符で包まれた火喰い鳥のナイフ。
護符は清蘭が与えた液体を染み込ませたもの。
魔を寄せ付けない結界を気づく護符。
清蘭の力が染み込んでいる結界だから・・・・・清蘭に対して結界は機能しない。
そのことをおそらく華煉は知らない。
結界が張られているから、今ここで起こることは華煉が知りたいと思っても絶対に聞こえないし見れない。
華煉に知られたくないこと、マナが見た時間回帰の記憶を聞くには絶好のチャンス。
そう思って結界の中に飛び込んできたのに・・・・
「何だ、この気配は・・・」
魔を寄せ付けない結界の中に広がる闇。
その中心は・・・・・・ベッド??
時間回帰のあと存在が不安定になってしまったマナは複数の魔法陣で結界を張られたベッドの上から動けなくなっていたはず。
その魔法陣は清蘭が用意したもので・・・・華煉が帰ってきた時に一度解いたが、華煉が離れるとまたマナの存在が不安定になるかもしれないからと結界を再形成したはず。
それなのに、どうしてあの一体が闇に包まれている?
護符の結界の中、紅瑪瑙石という宝玉の中、さらに複数の魔法陣ではられた結界。
三重の結界陣がはられているのに・・・その中心に闇がある。
清蘭はパチリッと指を鳴らす。
闇の中でベッドを包む魔法陣が光を放つ。
闇が少し薄くなり、ベッドがようやく見えるようになる。
暗い暗い真っ暗な闇の中で・・・・ベッドに腰掛け、俯いて、手で顔を覆って、何かを考え込んでいるようなマナがそこにいる。
声をかけようとした瞬間に目に入る。
捩れた角、闇の色に染まった髪の毛、そして、闇の色に染まった翼
「マインドスナッチ!」
思わず大きな声で呼ぶ。
名を呼ぶと顔をあげてこちらを向いたその顔は・・・漆黒の瞳。
これだけの多重結界の中、深い深い闇に包まれた空間に一人の魔が・・・
「清蘭?」
魔が清蘭の名を呼んだ。
呼ばれた瞬間に、まるで今までの闇が嘘のようにかき消える。
自分の目を疑う。
魔法陣がキラキラとした光を放ち、明るい小さな部屋の中。
ベッドに腰掛けているのは赤い髪、金色の目、赤い翼、角などまったくない・・・いつものマナがそこにいる。
「清蘭、来てくれたのか。」
うれしそうに笑う。
うなだれていた体を起こし、それでもベッドからは結界が邪魔して離れられないようだが、ベッドのそばにすっくと立つ。
精悍な若者
火霊の血を引く火喰い鳥の民
「ところで、俺はいつまでベッドに縛り付けられてるんだ?狭い部屋とはいえもうちょっと動けるようになりたいんだけど、まだ俺の存在って揺らいでいるか?自分ではわからないんだが・・・」
そういって首をかしげる。
いつもと変わらない。
だが、さっき清蘭の目に映っていたのは、確かに強大な闇を引き連れた魔だった。
「マインドスナッチ?」
「清蘭、どうした?変な顔をして。・・・・・・まさか、華煉に何かあったのか?昨日から華煉の姿をここから見ることができなくなったんだが、まさか、華煉まで斬られたりしてないよな。うわっ!」
思わず清蘭のほうに駆け寄ろうとして、魔法陣に触れてしまう。
魔法陣の結界が光を放ち、外に出ることを阻む。
結界に弾き飛ばされて、またベッドの上に叩きつけられて、一瞬苦しそうに顔が歪む。
そう。これも何度か見た光景。
いつもと変わらないマナ。
だが、清蘭の魔法陣に触れたからこそ、清蘭にはわかってしまった。
「マインドスナッチ、華煉には何も起こってはいない。異常が起こったのはおぬしのほうじゃよ。」
ベッドのほうに歩み寄りながら呪印を切る。
複雑な呪文を連続詠唱する清蘭の姿を見て、マナも少し緊張した表情を浮かべる。
「清蘭?俺・・・・何かやってしまったのか?」
清蘭の周りに二重の魔法円が浮かぶ。
中心には太陽と月
清蘭が術式を完成させる。
太陽と月の魔法円はそのまま清蘭の高く掲げた右手に収束し、清蘭の右手が真っ白な光で輝く。
「マインドスナッチ、そこに横になれ。儂を信じろ。一瞬で終わる。」
マナは怪訝そうな顔をしながら、それでも言われるままにベッドに横たわる。
「目を瞑った方がいいか?」
清蘭が何をするとしても、絶対に自分と華煉のためを思ってすることだと信じているから、だから、言える。
目を瞑った方が良ければ目を瞑る。
すべて、清蘭に任せる、と。
「そうだな。体が反応してしまうかもしれないから、目を瞑ってもらう方がいい。」
言われるままに目を瞑る。
体の力を抜いて無防備になったマナ。
清蘭はベッドの横に立ち・・・・
そして、左手でマナの腹を軽く押さえると、光り輝く右手でマナの心臓の位置をぶち抜いた!
◆ ◆ ◆ ◆
「はうっ!」
華煉は思わずバランスを崩し、空から落ちる。
体を突然襲った衝撃。
必死で翼をあやつり砂地に着地する。
「今の・・・・・衝撃は一体・・・・」
衝撃を感じたのは胸の中心。
心臓の位置。
だけど、痛みを感じたのはほんの一瞬
「一体何が・・・・・」
今朝の風斬り羽根と何か関係があるのかしら?
そう思って風斬り羽根を見る。
先ほどまでは黒かった風斬り羽根が・・・・・・・・・いつもの緋色に戻っていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「がっ!」
清蘭の右手は心臓の位置をぶち抜いたあとも体の中で何かを探すかのように蠢く。
あまりの痛みに目を開けてしまったマナはそのまま血反吐を吐く。
清蘭の手を止めようと思っても、両手に力が入らない。
「せ・・・・・清・・・」
「捕らえた!」
清蘭がそのまま一気に腕を引く抜く。
「くっ!」
腕を抜いた衝撃が走る。
だが、ぶち抜かれた胸の傷は清蘭が腕を抜いた瞬間に消えた。
あまりにも痛みが一瞬で消えたので幻かと思った。
だが、ベッドを汚す血・・・自分が先ほど吐いた血が、今起こったことが現実だと知らしめる。
「清蘭・・・・一体、何が」
「闇の種子」
それだけいうと清蘭はきつく右手を握り締めたまま、左で複雑な呪印を描き始めた。
こうなってしまうとマナには待つことしか出来ない。
やがて魔法円が空に現れる。中心にあるのは太陽、月、そして・・・・水と空?
水の魔法円が最初に清蘭の右手に収束する。
続いて太陽と月の魔法円が・・・・・
淡い光が右手の中からこぼれ出る。
やがて光も収まり、清蘭はゆっくりと右手をひらいた。
そこにあったのは黒い宝石
「黒曜石?オニキス?」
「いや、違う・・・・・これは種子の欠片。これはこの場所に置いておくわけにはいかない危険なもの。」
そういうと清蘭は黒い宝石を宙に投げ・・・・空の魔法円に吸い込まれた宝石はその場から消えた。
「清蘭?」
「ベッドの結界を解く。そのままそこに居れ。」
そういうとベッドを包み込む魔法陣に一つずつ右手を差し伸べる。
清蘭の右手が触れた魔法陣から少しずつ解除され、やがてベッドの周りの結界はすべて取り除かれた。
「清蘭、いいのか?」
「あぁ、結界があるほうが危険だとわかったからな。
しっかし、お主と付き合うと力がどれだけあっても足りんのぉ。お主は本当に手がかかるわい。困ったことじゃのぉ。
うむ?何を笑っておるんじゃ?マインドスナッチよ。」
「いや、ようやくいつもの口調に戻ったなと思って。うれしいよ、清蘭。」
俺はそういうと清蘭に抱きついた。
「こ・・こりゃ!儂にはそういう趣味はないぞ!これが華煉なら大歓迎なんじゃがのぉ。ん?どうしたんじゃい?マインドスナッチよ。」
「いや、誰かに触れられるというはいいものだなと思って。ちょっとこうしてていいか?」
「・・・・・・・・・ごつい男に抱きつかれても暑いだけじゃわい。とっとと離れい。」
「冷たいなぁ」
俺は苦笑しながら清蘭から離れて、椅子に腰掛けた。
「こうやってベッドから離れて椅子に腰掛けるのも久しぶりだ。」
「まぁ、そうじゃろうな。」
俺は軽く伸びをして、そして清蘭のほうに向き直る。
「で、今のはなんだ?俺に何が起こっていた?」
◆ ◆ ◆ ◆
さっきのショックはなんだったのかしら?
あれから、何も痛みは感じない。
体にも傷一つついていない。
目の前に立ちはだかる敵を見据えて、剣を引き抜く。
何も痛くはない。
戦える。戦えるはず。
一抹の不安を感じながら、剣を握り締め静かに華煉は呟いた。
「行きます。」
神獣隊にとって、もう地下1階の敵はほとんど相手になってない。
ベアさんの銃でなぎ払ってくれるから、私が普段使わないような技を使ってもそんなに影響しなかったみたい。
今日はまた一人で移動なので・・・あとでちょっとだけ時間が出来たら火喰い鳥のナイフを取り出してみよう。
床をあるいて・・・また砂地に出る。
翼を出して飛ぼうとして気づく。
「何・・・・これ・・・・・」
私の翼の一番先。
風斬り羽根が1枚・・・・・・・・・・・黒くなっていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「マインドスナッチ・・・おるか?」
清蘭はささやきながら紅瑪瑙石の中に顕現した。
華煉の護符で包まれた火喰い鳥のナイフ。
護符は清蘭が与えた液体を染み込ませたもの。
魔を寄せ付けない結界を気づく護符。
清蘭の力が染み込んでいる結界だから・・・・・清蘭に対して結界は機能しない。
そのことをおそらく華煉は知らない。
結界が張られているから、今ここで起こることは華煉が知りたいと思っても絶対に聞こえないし見れない。
華煉に知られたくないこと、マナが見た時間回帰の記憶を聞くには絶好のチャンス。
そう思って結界の中に飛び込んできたのに・・・・
「何だ、この気配は・・・」
魔を寄せ付けない結界の中に広がる闇。
その中心は・・・・・・ベッド??
時間回帰のあと存在が不安定になってしまったマナは複数の魔法陣で結界を張られたベッドの上から動けなくなっていたはず。
その魔法陣は清蘭が用意したもので・・・・華煉が帰ってきた時に一度解いたが、華煉が離れるとまたマナの存在が不安定になるかもしれないからと結界を再形成したはず。
それなのに、どうしてあの一体が闇に包まれている?
護符の結界の中、紅瑪瑙石という宝玉の中、さらに複数の魔法陣ではられた結界。
三重の結界陣がはられているのに・・・その中心に闇がある。
清蘭はパチリッと指を鳴らす。
闇の中でベッドを包む魔法陣が光を放つ。
闇が少し薄くなり、ベッドがようやく見えるようになる。
暗い暗い真っ暗な闇の中で・・・・ベッドに腰掛け、俯いて、手で顔を覆って、何かを考え込んでいるようなマナがそこにいる。
声をかけようとした瞬間に目に入る。
捩れた角、闇の色に染まった髪の毛、そして、闇の色に染まった翼
「マインドスナッチ!」
思わず大きな声で呼ぶ。
名を呼ぶと顔をあげてこちらを向いたその顔は・・・漆黒の瞳。
これだけの多重結界の中、深い深い闇に包まれた空間に一人の魔が・・・
「清蘭?」
魔が清蘭の名を呼んだ。
呼ばれた瞬間に、まるで今までの闇が嘘のようにかき消える。
自分の目を疑う。
魔法陣がキラキラとした光を放ち、明るい小さな部屋の中。
ベッドに腰掛けているのは赤い髪、金色の目、赤い翼、角などまったくない・・・いつものマナがそこにいる。
「清蘭、来てくれたのか。」
うれしそうに笑う。
うなだれていた体を起こし、それでもベッドからは結界が邪魔して離れられないようだが、ベッドのそばにすっくと立つ。
精悍な若者
火霊の血を引く火喰い鳥の民
「ところで、俺はいつまでベッドに縛り付けられてるんだ?狭い部屋とはいえもうちょっと動けるようになりたいんだけど、まだ俺の存在って揺らいでいるか?自分ではわからないんだが・・・」
そういって首をかしげる。
いつもと変わらない。
だが、さっき清蘭の目に映っていたのは、確かに強大な闇を引き連れた魔だった。
「マインドスナッチ?」
「清蘭、どうした?変な顔をして。・・・・・・まさか、華煉に何かあったのか?昨日から華煉の姿をここから見ることができなくなったんだが、まさか、華煉まで斬られたりしてないよな。うわっ!」
思わず清蘭のほうに駆け寄ろうとして、魔法陣に触れてしまう。
魔法陣の結界が光を放ち、外に出ることを阻む。
結界に弾き飛ばされて、またベッドの上に叩きつけられて、一瞬苦しそうに顔が歪む。
そう。これも何度か見た光景。
いつもと変わらないマナ。
だが、清蘭の魔法陣に触れたからこそ、清蘭にはわかってしまった。
「マインドスナッチ、華煉には何も起こってはいない。異常が起こったのはおぬしのほうじゃよ。」
ベッドのほうに歩み寄りながら呪印を切る。
複雑な呪文を連続詠唱する清蘭の姿を見て、マナも少し緊張した表情を浮かべる。
「清蘭?俺・・・・何かやってしまったのか?」
清蘭の周りに二重の魔法円が浮かぶ。
中心には太陽と月
清蘭が術式を完成させる。
太陽と月の魔法円はそのまま清蘭の高く掲げた右手に収束し、清蘭の右手が真っ白な光で輝く。
「マインドスナッチ、そこに横になれ。儂を信じろ。一瞬で終わる。」
マナは怪訝そうな顔をしながら、それでも言われるままにベッドに横たわる。
「目を瞑った方がいいか?」
清蘭が何をするとしても、絶対に自分と華煉のためを思ってすることだと信じているから、だから、言える。
目を瞑った方が良ければ目を瞑る。
すべて、清蘭に任せる、と。
「そうだな。体が反応してしまうかもしれないから、目を瞑ってもらう方がいい。」
言われるままに目を瞑る。
体の力を抜いて無防備になったマナ。
清蘭はベッドの横に立ち・・・・
そして、左手でマナの腹を軽く押さえると、光り輝く右手でマナの心臓の位置をぶち抜いた!
◆ ◆ ◆ ◆
「はうっ!」
華煉は思わずバランスを崩し、空から落ちる。
体を突然襲った衝撃。
必死で翼をあやつり砂地に着地する。
「今の・・・・・衝撃は一体・・・・」
衝撃を感じたのは胸の中心。
心臓の位置。
だけど、痛みを感じたのはほんの一瞬
「一体何が・・・・・」
今朝の風斬り羽根と何か関係があるのかしら?
そう思って風斬り羽根を見る。
先ほどまでは黒かった風斬り羽根が・・・・・・・・・いつもの緋色に戻っていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「がっ!」
清蘭の右手は心臓の位置をぶち抜いたあとも体の中で何かを探すかのように蠢く。
あまりの痛みに目を開けてしまったマナはそのまま血反吐を吐く。
清蘭の手を止めようと思っても、両手に力が入らない。
「せ・・・・・清・・・」
「捕らえた!」
清蘭がそのまま一気に腕を引く抜く。
「くっ!」
腕を抜いた衝撃が走る。
だが、ぶち抜かれた胸の傷は清蘭が腕を抜いた瞬間に消えた。
あまりにも痛みが一瞬で消えたので幻かと思った。
だが、ベッドを汚す血・・・自分が先ほど吐いた血が、今起こったことが現実だと知らしめる。
「清蘭・・・・一体、何が」
「闇の種子」
それだけいうと清蘭はきつく右手を握り締めたまま、左で複雑な呪印を描き始めた。
こうなってしまうとマナには待つことしか出来ない。
やがて魔法円が空に現れる。中心にあるのは太陽、月、そして・・・・水と空?
水の魔法円が最初に清蘭の右手に収束する。
続いて太陽と月の魔法円が・・・・・
淡い光が右手の中からこぼれ出る。
やがて光も収まり、清蘭はゆっくりと右手をひらいた。
そこにあったのは黒い宝石
「黒曜石?オニキス?」
「いや、違う・・・・・これは種子の欠片。これはこの場所に置いておくわけにはいかない危険なもの。」
そういうと清蘭は黒い宝石を宙に投げ・・・・空の魔法円に吸い込まれた宝石はその場から消えた。
「清蘭?」
「ベッドの結界を解く。そのままそこに居れ。」
そういうとベッドを包み込む魔法陣に一つずつ右手を差し伸べる。
清蘭の右手が触れた魔法陣から少しずつ解除され、やがてベッドの周りの結界はすべて取り除かれた。
「清蘭、いいのか?」
「あぁ、結界があるほうが危険だとわかったからな。
しっかし、お主と付き合うと力がどれだけあっても足りんのぉ。お主は本当に手がかかるわい。困ったことじゃのぉ。
うむ?何を笑っておるんじゃ?マインドスナッチよ。」
「いや、ようやくいつもの口調に戻ったなと思って。うれしいよ、清蘭。」
俺はそういうと清蘭に抱きついた。
「こ・・こりゃ!儂にはそういう趣味はないぞ!これが華煉なら大歓迎なんじゃがのぉ。ん?どうしたんじゃい?マインドスナッチよ。」
「いや、誰かに触れられるというはいいものだなと思って。ちょっとこうしてていいか?」
「・・・・・・・・・ごつい男に抱きつかれても暑いだけじゃわい。とっとと離れい。」
「冷たいなぁ」
俺は苦笑しながら清蘭から離れて、椅子に腰掛けた。
「こうやってベッドから離れて椅子に腰掛けるのも久しぶりだ。」
「まぁ、そうじゃろうな。」
俺は軽く伸びをして、そして清蘭のほうに向き直る。
「で、今のはなんだ?俺に何が起こっていた?」
◆ ◆ ◆ ◆
さっきのショックはなんだったのかしら?
あれから、何も痛みは感じない。
体にも傷一つついていない。
目の前に立ちはだかる敵を見据えて、剣を引き抜く。
何も痛くはない。
戦える。戦えるはず。
一抹の不安を感じながら、剣を握り締め静かに華煉は呟いた。
「行きます。」
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