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闇と鎖と一つの焔

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  • 11/25/15:28

diary of the 7th day

華煉です。
今回もう一人のマナが日記で遊びたかったみたいです。
遊びの内容は・・・・


これ


・・・・・・・・・・・・ノーコメント!!!

(でも、目いっぱいお題を捻じ曲げて普通に読めるように書いたそうですけど)


日記は続きを読むでご覧下さい(ぺこり)


※3000字に近かったため文字の装飾をすべて外したらしいので、ここでは装飾をつけて掲載しておきます。
 ついでにお題にも色をつけておきます。お題が目立つとなんか・・・・かも

 




俺は少し疲れていた。
連日の戦闘。気力も残り少ない。
この遺跡には何か体力を消耗させるものがあるのかもしれない。


「すまん・・・少し寝る


俺はベアとトーキチローにそういい残すとその場に座りこんだ。
翼を自分の体に纏うように重ねる
いつもは翼に包まれるだけで心が落ち着くのだが・・・
神経がささくれだち、つかれきった今は炎のように赤い翼が血を連想させる。

俺はそっと翼を自分の背にいれる
火喰い鳥の民はその背に翼を畳み込むことが出来る。
もっとも翼を広げていようと背に入れていようと、仰向けに寝るのは苦痛なので、座ったままか、横向きになるか、うつ伏せになるしか寝る方法はないのだが・・



俺は座ったまま寝ようとして、ふと気づいて指を舐めると指を風にかざした。
風は弱いが、空気は生暖かく湿っている。
空を見上げる。


「雨が降るかもしれないな・・・・」


俺は小さな小屋のような遺跡に近寄ると、小さな入り口から這うようにして中に入った。
家の中は予想以上に広かったが、まっすぐ立つことはできない。
これでは剣を振るうどころか、素手で戦うことも出来ないだろう。
戦闘などとんでもない。攻めることなどできない。

『今モンスターがきたらどうしようもないな』

だが、俺は疲れていた。
この場所なら雨に濡れることもない。
モンスターはさっき退けたばかりだ。
その場に体を横たえると、深い眠りの海に溺れる俺。
その眠りが何を呼ぶのかすら、そのときの俺は知らなかった。


+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-


暗い闇の中に俺は居た。
銀色の糸が一本天からおりているのが見えた。


何気なく指を糸に絡める
何かが絡まってくる。
腕に。
足に。
腰に。
身動きが出来ない。体を絡め取られる。
抵抗しようとして俺はナイフを引き抜こうとする。
だが・・・俺は何一つ身につけていなかった。


糸が絡まる。
絡め取られる。
俺の意識までも絶望に絡め取られそうになったそのとき・・・
俺は華煉の気配を感じた。


翼を広げ、絡まる糸を引きちぎって華煉の気配のほうへと・・・
わずかな希望にすがるように俺は飛んだ。


だが、糸が追いついてくる。
足を取られる。
体が跳ねる
そして・・・・・何かが俺の上にのしかかっているのを感じる
右足が固定される。動かない。
何者かがよろこぶ気配を感じる。


食べる。タベル。ゴ馳ソウ。オいしイ。よロこビ。食む。ハむ。


動かない右足は・・・何かが銜える ・・・銜えている・・・何かに銜えられている!?
今の俺は罠にかかった餌だ。
俺は絶叫した。


『華煉!!』


『マナ!!』


華煉の声。
同時に白い閃光があたりを包む。


足が動く。
翼も動く。
俺はいく
華煉のもとへ。


真っ白な光の中。
俺は手を伸ばす。
細く白い震える手が俺の手首をつかむ。
扉が見える。
華煉がいる。
左手で扉を押さえながら右手で俺の手首をつかんでいる。
扉を開く・・・・ただそれだけのことなのに、華煉の顔は苦痛に歪んでいる。
俺は最後の力を振り絞って飛び込んだ。


+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-


マナ・・・マナ・・・・


誰だ。
誰かが俺を呼んでいる。


マナ・・・マナ・・・・メヲアケテ・・・・


俺は疲れているんだ。
このまま眠らせてくれ。



お願い・・・・目を醒まして・・・・マナ



頬が濡れる。
唇に何かが当たる。
何かが口の中に入ってくる。
これは・・・・強い酒だ。
何かが唇から離れる。
俺はそっと目を開いた。


「マナ」


右手に酒のグラスを持ち、左手を俺の右頬に伸ばし、心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいたのは・・・


「華煉?」


「マナ・・・・・・」


ここはいつもの華煉の空間だった。
上も下もない異空間。
俺が動きやすいように、華煉が必要最低限の重力を作ってくれる。
・・・・俺が唯一仰向けになって寝ることが出来る世界。
仰向けに横になっていた俺の上に跨る様にして華煉はいた。
目からぽろぽろと涙を流し、俺の名を呼ぶと華煉はそのまま俺にしがみついて声を上げて泣いた。


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

「華煉?」

「私が・・・・私が目を放したから・・・ごめんなさい。」



震えている?華煉が?


俺は華煉の頭をそっとなでながら、周りに目を向けた。
いつものように服を着て、左腰にベアの作ってくれた剣、右腰にいつも紅瑪瑙のついたナイフ。
いつもの俺。
細い肩、焔のような髪、いつものように薄衣を纏って・・・泣いている華煉。


+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-


「なぁ、華煉。なにがあった?」


泣き止んだと思ったら、今度は恥ずかしがって背を向けてしまった華煉。
その背に向かって声をかける。

ぽつり、ぽつりと華煉は語った。

火喰い鳥の民は極めて特異な民で・・・・成人した火喰い鳥の民の身体はありとあらゆる精霊、聖霊、悪霊、魑魅魍魎の力を増幅させる。
その事実は精霊界から畏界へと伝わり、火喰い鳥の民が火喰い鳥の里の結界から離れると、魑魅魍魎に身体をのっとられて儀式の生贄とされることが増えていった。
それは精霊族にとっても脅威であった。
世界のバランスを崩しかねないいくつかの儀式が執り行われ、精霊たちでも阻むのが精一杯。
事態を重くみた精霊族の族長が、火喰い鳥の民と盟約を結び、守護精霊をその身に宿す儀式が作られた。

守護精霊を身に宿すには、ある程度の身体と精神の成長が必要で、
火の元服はそれに必要な身体の成長が認められたことを示す儀式。
炎の元服はそれに必要な精神の成長が認められたことを示す儀式。
そして、炎の元服を終えた者は常に精霊族からその性質、性格、能力を量られ、
複数の精霊が認めたときにはじめて焔の元服を受けることが出来る。

焔の元服をしていない民が里を出ることを禁じられているのはそのためで、
精霊を持たぬ者は魑魅魍魎にとって極上の餌に他ならない。
だが、守護聖霊がついていれば・・・・
守護精霊を祓い落とさなければ火喰い鳥の民の身体を自由にすることは出来ない。
しかも、その守護精霊の力は火喰い鳥の民の身体によって増幅されている。
かくして精霊たちにとっての脅威は消え、火喰い鳥の民は里を出て旅をする自由を得た。

マナが里を出てからも、ずっと華煉がマナを餌としようとするものを退けてきた。
焔の元服とともに刻まれたマナの胸の刺青。それは華煉の力を増幅させる。


だが、ここ数日間、華煉はマナの勝利を祈願するために潔斎して祈りをささげる儀式を行っていた。
マナの呼びかけにも応えなかったため、ほんの少しマナとのつながりが弱くなった。
さらに、マナの疲労がマナの精神、身体を弱めていたため、つけこまれる隙が出来た。


そして、マナが疲労で倒れたとき、マナの精神が華煉の異空間へとたどり着く前に横から何者かにさらわれた。


華煉がマナを見つけたとき、マナは蜘蛛のような魍魎に絡め取られ、今にも食われようとしていた。
華煉は力を振り絞り、空間をつなぎ、糸を切り裂き、糸から逃れてきたマナの精神を必死で拾い上げた。


「あのとき、マナが私の名を呼ばなければ、見つけられなかった。
 守護するのが役目なのに・・・・・私が目を放したから。」


肩が震える


「もういいから。俺は無事だったんだからもう気にするな。」


俺に背を向けている華煉を背後からそっと抱きしめる。
俺の腕に涙が落ちてくる。
俺の腕が涙で濡れる


「頼むから、もう泣き止んで。久しぶりに会えたんだ。笑ってくれ、華煉」





どれぐらいそうしていただろう。いつしか泣き止んだ華煉がそっと振り返る。
俺の目を見て、そして


「ありがとう」


といって微笑んだ。


眩しかった。
蕩けるようないい笑顔だった。
俺は・・・・・・きっとその笑顔をずっと忘れないだろう。

 

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